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網羅性・妥当性の検証・有病率の外挿~医薬品の売上予測(各論)9

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有病率は感受性の高い指標である

たとえば、疾患Zの真の有病率は0.6%、すなわち、疾患Zは100,000人中600人が侵されているような疾患があるとしましょう。

米国人1,000人を無作為に調査したとすると、その中に疾患Zの患者は6人ほどいることになります(厳密に言うと、1,000人サンプルすると、サンプル集団中に疾患Zの患者が6人含まれる確率が最も高くなる)。

しかし、あるときに調査をしてみると、たまたま患者が1人多く含まれてしまったものとすると、その調査の結論としては、疾患Zの有病率を0.7%と誤って高まって推定してしまうことになります。

仮にその調査の結果を誤って採用してしまった場合、売上予測は16.7%も過大に読んでしまうことになります(2018年のピーク売上は3.5百万ドルとなり0.5百万ドルも過大に評価してしまう)。
これが更に稀な疾患となれば、小さなズレの影響はますます大きくなります。

このように、有病率というのは非常に慎重に調べなければならない要素なのです。
良い売上予測のためには、以下の二点を少なくとも押さえておく必要があります。

網羅性

繰り返しになりますが、検索を充分に行ってすべての得られる文献を網羅しておく必要があります。

良い疫学データは得ることが難しく、文献の数も決して多くはありません。

妥当性の検証

望ましくは複数の文献を調査して、数字の違いを把握しておくことです。

たとえば、米国の有病率を確認したら、欧州にも同じような情報があるかどうか確認しておき、数字が近いかどうかを把握しておくことはたいへん意味のあることでしょう。

有病率の外挿

良い疫学データというのは得がたく、特に新興国などではまったくデータが無いという状況もあり得ます。
そのような場合は、他の国における有病率をその国に外挿するというアプローチもあります。

ある国における予測を立てるにあたっては、どの国のデータであれば外挿できるのかということを説明するのは、予測担当者の腕の見せ所です。
もっとも信頼性の高いデータを採用するのか、それとも民族的に近い国のデータにするのか、疾病固有の状況なども加味しつつ、選択することになります。

診断率のデータの収集

実際に病院を訪れて医師と面談し、医師による診断を受けた有病者が診断患者であり、診断患者の有病者全体に対する比率が診断率です。

すなわち、有病者の中から、実際には何人の患者にその診断がつくのかという比率を示したものが診断率です。
これも得られる情報の質・量によって、アサンプションの立て方に工夫が必要になってきます。

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