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性別及び年齢での階層化~医薬品の売上予測(各論)7

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有病率は静態指標である

有病率というのは、過去のある時点における患者数を調査した結果計算されるものです。
患者層を将来にわたって予測するということはすなわち、過去のある時点でのスナップショットを取って、その状態を未来に向けて外挿するという作業をしていることに他なりません。

過去のある時点の有病率と将来の推計人口との積をもって有病者動態を推計しているということは、その前提として有病率は少なくとも予測期間内では大きく変わらないと置いていることになります。

そのことを踏まえて、以下の点を押さえておくとよいでしょう。

性別及び年齢での階層化

病率を一般人口全体に対して設定しているので、有病率を一定におくと、一般人口が増加傾向にあれば有病者数は合わせて増加傾向をとるということになります。
日本のように人口が減少する傾向にある国では、このアサンプションを置く限り、有病者数は常に減少することになります。

しかし、実際には日本全体としての人口は減少傾向にあるとしても、多くの慢性疾患が問題となる65歳以上の高齢者については2040年までは増加傾向にあります。
特に高齢者に多い疾患については、単に一般人口の動態に基づいた外挿を行うことは、増加傾向を減少傾向と見誤る可能性があるので気をつけなければなりません。

また性別においても、前立腺肥大のようにどちらかの性にしか見られないような疾患だけでなく、関節リウマチのように性別に偏りがあることがわかっている疾患は注意が必要です。

病因論

性別及び年齢によって標準化した静態的な有病率を未来に向けて外挿することには、最長で25年程度の予測期間であれば問題はないと考えられます。

しかし、明らかに何らかの傾向が見られるような場合には、単に静態的に外挿するのが適当でないように見える場合もあります。
どのような方法をとるにしても、その方法を支える理論的な裏づけが必要になり、その考え方の一助になるかもしれないのは病因論です。

疾病の原因は遺伝的素因と環境素因とに分けられますが、その疾患が遺伝的素因によってのみ成り立っているような疾患であれば、ある疾患が疾病に侵される確率が将来にわたって大きく変動すると考えにくいです。

一方で、感染症のように環境素因からの影響を強く受ける疾病であれば、C型肝炎のように血液製剤の汚染という原因を突き止めて減少に向かうか、ジカウイルス感染症のようにエマージングジ疾病として増加するというような傾向が生ずる可能性があります。

多くの一般的な慢性疾患の病因は、この両方の素因を組み合わせて成立していると考えられていますが、たとえば2型糖尿病のように、環境素因である生活習慣病がより強く作用していると考えられる場合には将来に向かって何らかの傾向が生じる可能性は高いです。

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