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アサンプションの設定~医薬品の売上予測(各論)5

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罹患率モデルを用いる必要があるような場合

革新的な医学的介入の登場によって疾病の治療パラダイムtreatment paradigmが大きく変わることが考えられる場合には、罹患数に基づいた動的なモデルを構築することによって、その変動の様子を予測することができます。

たとえば、画期的な肺高血圧症の治療薬の登場によって患者の生存期間が著しく改善する場合には、それによって肺高血圧の見た目の患者数が増加すると考えられるが、その増加の程度は患者数のモデルを用いることによってシミュレートできます。

以上、疫学モデルによる患者数予測にはさらに二つの類型があることを解説しました。
一般的に見ると有病率モデルは有病率を比較的シンプルな割合で表現でき、いわば静的であるのに対し、罹患率モデルはより複雑で、多くのパラメータを必要とし、動的であるといえます。

したがってまず疫学モデルの中でも有病率モデルについて解説し、その応用として罹患率モデルを取り扱うこととします。

アサンプションの設定

それではケース・スタディとして、仮想的な慢性疾患Zの治療薬である新製品Xを考えてみましょう。
XはYという薬効群に属し(例えば、Zは糖尿病、YはDPP4阻害薬、Xはジャヌビアというような関係である)、2014年に発売されるというシナリオです。

今回の仕様は、期間は2014年から18年までの5年間、インターバルは1年、出力単位は米ドルで地理的範囲も米国である。与えられているアサンプションは以下の通りです。

●疾患Zの米国国民における有病率は0.6%、つまり年齢や性別に関わらず、人口10万に対して600人という比率が2014年から2018年まで一定に維持される

●同様に、疾患Z患者全体の45%が、疾患Zであるという診断を受ける

●疾患Zとの診断を受けた患者の74%が、2014年には何らかの治療を受けており、この治療率は2018年には87%にまで伸びる

●薬効群Y中のいずれかの製品によって治療を受けている患者の期中平均患者シェアは、2014年には30%であるが、これは2018年には33%にまで伸びる

●薬効群Y中での製品Xの期中平均患者シェアは初年度は2%、2018年には8%にまで伸びる

●製品Xの患者一人あたりの年間の価格は、2014年には200米ドルだが、以後年率3%で伸びてゆく

●コンプライアンス率は65%で推移する

このようなアサンプションを基に、将来の売上を予測すると表を作ることができます。

このように、売上予測は表計算ソフトなどを用いて横軸に時間、縦軸に各アサンプション、すなわち人口から患者数、そして売上金額に至るまでの構築を展開するとわかりやすいですね。
これをさらに可視化した棒グラフを用意すると、売上予測は直感的に理解されやすいでしょう。

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