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サブセグメント分類~医薬品の売上予測(各論)13

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患者シェアを予測するにあたっては、市場調査が欠かせません。
もっとも一般的に行われているシェアの予測のための市場調査は、医師コンジョイント分析と呼ばれるものです。これは医師の処方行動を定量的に理解するために欠かせない調査方法です。

コンジョイント分析の優れている点は、製品の選好について参加者集団がどのような「価値システム」を用いて評価しているのかということを包括的に理解できる点です。

このシステムの中に新製品の仮想プロファイルを当てはめれば、その新製品が発売された後のシェアを予測できるだけでなく、各製品特性の定量的な価値も推定できます。

サブセグメント分類

マーケティング論でいうセグメンテーションとは、顧客集団の中に、

●異なる購買行動を取る傾向がある小集団であって
●一般属性等によってその小集団に所属する顧客を同定可能であるもの

が存在する場合に、その顧客集団の中の小集団を定義して異なる戦略を採用することによって、顧客に対する営業活動の効率を上げることを目的とする戦略のことであり、同じ販売目標をより低いコストで達成するということが狙いです。

これを医薬品のマーケティングに応用すると、具体的には患者(または保険者)のwillingness to pay(WTP;財またはサービスの提供を受けるために顧客が支払いたいと思う対価の額)が異なる、すなわち医療に対するニーズの程度が異なる小集団を分類・同定することができれば、それぞれの集団内の患者シェアのアサンプションを別々におくことによってより精密な売上予測につながるだけでなく、より営業努力を注ぐべき医師集団に対する理解も深まる場合があります。

また開発品の場合は、このセグメントの切り分けに用いるアサンプションは、適応症及び添付文書の記載と関連してくるので特に重要になってきます。

重症度によるセグメンテーション

同じ疾患に起こされている患者であっても、たとえば重症度が違えば使う薬も違ってくるだけでなく、そもそも薬を使うかどうかという判断も違ってきます。

一般的には、重症な患者ほど薬が処方される頻度が高まるだろうし、より高いWTPを示すと予想され、より高価な薬を使う可能性が高いでしょう。
したがって、疾患を重症度別のセグメントとして考えることには意味があります。このとき、どのような基準でセグメントの切り分けを行っているのか、ということを考えることが重要です。

例えば、医師によってセグメントの定義が違うような状況では、市場調査を行ったとしても、その結果も輪郭があいまいなものになってしまうでしょう。

セグメント分類が疾患の治療ガイドラインに明記されているような場合には、そのガイドラインの分類を用いることは合理的でありますが、調査対象の医師がそのガイドラインの分類を意識して質問に答えているかどうかを確認しなければならないし、またそのようなガイドラインがない場合には、医師が何をもってセグメントを切り分けているのかを確認する必要があります。

もう一つ重要なことは、ガイドラインに沿ったセグメントの切り分けはあくまでも臨床的な区分であるということです。
したがってセグメントごとにWTPが本当に異なるのかどうか、確認する必要があります。

例えば、日本緑内障学会の発行している緑内障診療ガイドライン第3版によれば、狭義の原発開放隅角緑内障と正常眼圧緑内障とでは、臨床上の区分はあっても治療方針は基本的に同じです。
したがって、この両セグメントにおいて異なったWTPを示すかどうかは必ずしも自明ではありません。

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