HOME > すべての記事 > 売上予測・事業性評価 > 市場調査と外挿・リバースエンジニアリング~医薬品の売上予測(各論)10

市場調査と外挿・リバースエンジニアリング~医薬品の売上予測(各論)10

146view

診断患者数のデータがもともとある場合

患者の診断は医療サービスの一環として行われるため、医療サービスを地域や国レベルで把握できるようなシステムがある場合には、診断率患者数のデータは比較的得やすいです。

特に医療保険制度が普及している先進国においては、ナショナル・データベースやレセプト・データベースなどとよばれる、保険者がその保険制度の利用状況を把握するための統計がある場合が多く、そのデータをそのまま利用できる場合があります。

あるいは難病などの特殊な疾病の場合は、患者登録制度が存在する場合があるので、その登録患者数の情報を利用することができる場合があります。

市場調査

上述のデータが無い場合には、診断率の計算は途端に難しくなります。

まずは市場調査によって情報が得られる可能性を検討することになりますが、医師調査を行っても、医師は自分が診たことのある患者についての情報しか知らないため、そもそも病院を訪れない有病者については情報が無いです。

ここで必要なのは有病者集団中の診断患者数であるので、有病者全体を対象にした調査でない医師調査はふさわしくない場合が多いです。
もっとも希少疾患などの場合で、専門医の数も限られているような場合には、診断患者のほぼ全数を把握することができる医師調査は有効であると言えます。

一方、患者調査となれば一般国民を対象にするのが良いのか(非常に大きなサンプルが必要になる)、患者集団を対象にするのが良いのか(そもそも診断がついたことのない有病者を調査対象に含めることは難しい)、非常に難しいところです。

外挿する

次に考えることは、他の国や地域での診断率を外挿するということでありますが、診断率は有病率が一般現象であるのと違って患者自身の行動に基づく指標であるので、その診断率がなぜその国に当てはまると言えるのかということに関して確実に答えられるような理論的な裏づけが必要であり、そのような情報を得ることは容易ではありません。

医療へのアクセスの状況が近いか、患者の一般属性や所得などは同じなのか、その疾患の治療に対するニーズなども同じと言えるのかというようなことを、十分に理解し、説明することが求められます。

逆算する(リバースエンジニアリング)

最終的な手段としては、現在の薬物治療患者数から診断患者数を類推して診断率を計算するアプローチがあります。
つまり、現在分かっている治療患者数から逆算してくるのであり、これはリバースエンジニアリングなどと呼ばれることもあります。

現在の薬物使用患者数を販売統計から計算して、医師調査を行って診断患者中の薬物治療患者数の割合を推計できれば、全体の診断患者数が推計できるので、それを用いて診断率を計算するのです。

今実際にこれだけ製品が売れているので、患者数はこのくらいと推計できるから、それに基づいて診断率を計算する、ということです。

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「売上予測・事業性評価」カテゴリの関連記事