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水素結合・ファンデルワールス力~医薬品と標的生体分子の相互作用と立体化学的観点2

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水素結合

電気陰性度が大きな酸素、また窒素と結合した水素が他の窒素または酸素と相互作用して生じる結合である。
この場合の水素原子は正電荷(+)を持ち、これが他の負電荷(-)を持つ原子と引き合うことにより結合する。
具体的には、水素結合はO-H, N-Hのように電気陰性度の高い原子が水素原子と結合している官能基が、非共有電子対を持つ他のOやNとの間で、O-H・・N-Hのような水素結合系を介した相互作用を形成する。

水素結合は、双極子-双極子相互作用の一種であるが、医薬品と受容体の相互作用では最も重要である。

水の沸点は100℃であるが、分子量から考えるときわめて異常な高沸点を示しており、これは水の分子間で水素結合のネットワークを形成しているためである。

このような水素結合は医薬品化合物の物性にも大きな影響を示しており、多数の医薬品原薬が水和物構造を有している。
また、生物学的にも、DNAの二重らせん構造の基本となる塩基対はA-T、C-G間の水素結合である。

ファンデルワールス力

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電荷を持たない中性の分子間などで、働く凝集力をファンデルワールス力と呼んでいる。

ファンデルワールス力は分子間距離の6乗に反比例して急激に減少するが、静電相互作用に起因していてもクーロンの法則のように距離の逆2乗には比例しない。
結合するエネルギーが距離の6乗に反比例するので、力の到達距離は短く、かつ非常に弱い結合である。

一時的な電荷により生じるファンデルワールス力は、ファンデルワールス力を発生する原因は1つではなく、静電誘導により励起される一時的な電荷の偏り(誘電双極子)などによっても発生する。

ファンデルワールス結合は、静電結合で恒久的な原子間の分極と比べて非常に小さく4 kJ/mol(1 kcal/mol)以下の結合エネルギーである。

受容体の結合部位の形状にリガンド薬物の形状がフィットする時に、最大のファンデルワールス相互作用が生じるように形態認識がされ、官能基の存在しないような疎水性の部分においてもファンデルワールス力が働いているものと想定されている。

疎水性相互作用

医薬品分子の多くは、分子構造中に疎水性と親水性の部分が含まれている。
医薬品が標的となる生体分子(タンパク質)と相互作用する際には官能基などの親水性部とともに疎水性部が重要な役割を担っている。

医薬品の疎水性部分がタンパク質の疎水性部分に接近すると、両者が相互作用することにより安定化するものと考えられている。
受容体タンパク質においては、非極性部分が疎水性相互作用に関係すると考えられるので、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンにより構成される部分が非極性側鎖になっている。

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