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イオン性相互作用~医薬品と標的生体分子の相互作用と立体化学的観点1

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医薬品と標的生体分子の相互作用

医薬品と生体分子は、いろいろな原子間の結合力によって相互作用する。
医薬品が薬理作用を示すためには、特定の生態分子(ここでは酸素、受容体、イオンチャンネル、トランスポーター、核酸などの生理活性を有する低分子を指す)と相互作用しなければならない。

医薬品の作用点は、タンパク質と核酸であることが多いが、相互作用するためには、生体の特定の分子が医薬品の構造を認識し、それを取り込み、医薬品・生体分子複合体を形成することが重要である。

原子構造について復習すると、原子は正電荷(+)を持つ陽子と負電荷(-)を持つ電子から構成される。
このような電荷の間にはクーロン力が働くために、これがさまざまな粒子間に働いて複合体を形成する源になっている。

医薬品と標的生体分子の粒子間に働く相互作用には、イオン性相互作用(イオン結合)、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、共有結合などがあげられる。

結合の強さは、一般的に以下のような順番になっている。

・ファンデルワールス力
・水素結合
・イオン結合
・共有結合

イオン性相互作用(静電結合、イオン結合)

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イオンは電荷を持っているので、お互いにクーロン力を受ける。
陽イオンと陰イオンの間には引力(陽性の強い原子と陰性の強い非等価な原子の間に生じるクーロン)が働き、その結合をイオン結合という。

医薬品と標的となる生体分子間の相互作用においてはイオン結合がきわめて重要で、イオン結合による相互作用に基づいて薬理作用を発現する例が多い。
医薬品が受容体と結合する場合には、共有結合よりも結合エネルギーの小さい何種類からの相互作用が組み合わさって、受容体との結合に十分な安定性と選択性(標的として)を可逆的な相互作用として構成している。

受容体や酵素を構成しているタンパク質のアミノ酸は、酸性や塩基性を有するものがあり、生体のpHではイオン化しているので、静電結合(イオン結合、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用)は医薬品と受容体の重要な相互作用である。

医薬品は、4級アンモニウム塩など生体内でアンモニウムイオンになるようなアミン類が多く、これらは受容体を構成する酸性のアミノ酸として、例えばグルタミン酸やアルパラギン酸への静電結合が想定される。

イオン性相互作用は、薬物と受容体の双方かどちらかがイオン化していないような場合においても、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用などが起こる。

化学の復習であるが、一般的にイオン結合は金属元素と非金属元素の間に生じる。
これは非金属元素と金属元素との電気陰性度の差が大きいからである。

NaClだとNaの電気陰性度は0.9, Clの電気陰性度は3.0となる。これだけ差が大きいと電子は電気陰性度の大きい原子の方に移る。

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