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RNAを標的とする薬物~医薬品開発の標的となる代表的な生体分子6

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RNAを標的とする薬物

RNAは、A,G,Cおよびウラシル(U)の核酸塩基とD-リボースから構成される一本鎖のヌクレオチドである。RNAは、すべての動植物の細胞質および核にタンパク質と結合するか遊離状態で存在する。
また、植物ウイルスや動物ウイルスにも存在する。

RNAウイルスについては、エイズ(AIDS)をもたらすヒト免疫不全症ウイルス(HIV)や成人T細胞白血病(ATL)を起こすヒトT細胞性白血病ウイルスなどのレトロウイルスが代表的なものである。

RNAウイルスは細胞内に取り込まれた後、核内へ移行し逆転写酵素にてcDNAを作成した後、ホストの染色体DNAに組み込まれる。
ウイルスの自己増殖に必要なRNA合成とホスト細胞に必要なRNA合成を行ない、共生を図りながら増殖していく。

真核細胞とウイルス間の生活環メカニズムの差異をもとに、抗RNAウイルス薬が開発されている。
また、タンパク質をコードするmRNAなどに相補的な配列による翻訳阻害、アンチセンス、リボザイム(RNA酵素)やRNA干渉などによるゲノム創薬が進展している。

HIV薬(抗AIDS薬:逆転写酵素阻害薬とHIVプロテアーゼ阻害薬)

保管

AIDSの発症原因であるヒト免疫不全症ウイルス(HIV)はゲノム情報をRNAに持つレトロウイルスの一種である。

HIVは主として、免疫担当細胞であるT細胞のCD4に結合して細胞内へ進入した後、そのRNAゲノムを自身が持っている逆転写酵素によってDNAに読替える。

このHIVのDNAは宿主細胞のDNAに組み込まれた後、HIVに必要なタンパク質が産生され、さらにHIVの複製に必要な機能を有するタンパク質へと変換されてウイルスの増殖が進んでいく。

逆転写酵素、インテグラーゼ、HIVプロテアーゼの働きを阻害する薬物がAIDS治療薬としてのポテンシャルを持っている。

・逆転写酵素阻害剤
核酸系抗AIDS薬は、逆転写酵素阻害が主たる作用機序である。AZTは抗AIDS薬として唯一実用化されてきた薬物で、活性本体は細胞内でリン酸化酵素によって生成する5トリ燐酸で、逆転写酵素を競合的に阻害する。
医薬品例:アヂドチミジン(AZT)

・HIVプロテアーゼ阻害剤
HIVの複製に必要なタンパク質は、mRNAから前駆体タンパク質へ翻訳された後にウイルスプロテアーゼの作用により、機能を有するタンパク質に変換される。HIVプロテアーゼ阻害剤はこの過程を阻害する。
医薬品例:リトナビル、インジナビル、サキナビル

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