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立体異性体間で異なる性質~立体異性体と生物活性の関係2

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立体異性体間で異なる性質

医薬品においては、鏡像異性体間で異なった性質を示すので、キラル中心を有する化合物では、それぞれの鏡像異性体をつくり分ける必要がある。

活性、毒性、吸収、分布、代謝および排泄などの諸性質がそれぞれ同じ時にはじめてラセミ体での使用が許される。
もし、それらの性質において差異が認められた場合はどちらか一方が医薬品となり、その鏡像異性体は不純物として認識される。

作用と副作用

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鏡像異性体間で作用が異なる例として、睡眠薬の一種であるバルビツール酸誘導体はR体が麻酔作用を示し、S体は痙攣を起こすことが知られている。
また、ステロイドの一種であるエストロンにおいても(+)体のみが女性ホルモンとして作用しており、その鏡像異性体はホルモン作用を示さない。

持続型利尿薬であるインタクリンは一過性の尿酸排泄作用を示すが、R体が利尿作用を示すのに対しS体は利尿作用は弱いが高い尿酸分解/利尿活性比を示す。

サリドマイドは、医薬品の中でも最も重篤な薬禍を起こし、立体異性体と生物活性の関係が重要であることを認識させる事例である。

代謝の違い

ラセミ体として使用されている薬物においてはそれぞれの鏡像異性体が異なる代謝を受けることが多い。
例えば血液凝固薬であるワルファリンは、ラセミ体として使用されている医薬品であり、薬効に影響しないと考えられるが、R体、S体の体内動態、生物活性が異なることが知られており、その代謝において活性の強いS体からは7位のヒドロキシル化がおこり、R体からは側鎖のカルボニル基が立体選択的に還元されるという結果が得られている。

ニューキノロン系抗菌薬であるオフロキサシンは、従来ラセミ体として使用されてきたが、鏡像異性体を分離して抗菌活性を調べたところS体はR体の10~20倍の抗菌活性を示すことが確認された。
またS体であるレボフロキサンは、吐気、頭痛、不眠などの中枢系の副作用の発現が大きく減少しているとのことである。

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