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薬物動態学と薬力学~臨床開発の展開と目的3

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薬物動態学と薬力学

薬物動態学(PK:Pharmacokinetics)は、薬物の吸収、分布、代謝、排泄とこれに関与する酵素、トランスポーターなどを研究し、生体内における動態を解明する学問で、ヒトにおいては主として薬物投与後の血中濃度の推移、半減期、排泄速度などが研究される

一般に、臨床第Ⅰ相試験では、被験薬投与後に血液(血漿、血清)や尿が採取され、試料中の未変化体・代謝物の濃度が測定され、血液中および尿中濃度の時間推移が得られる。
経口投与の場合、最高血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、血中濃度曲線下面積(AUC)、消失半減期(t1/2)、尿中への排泄率などのPKパラメータが算出され、被験薬の体内への吸収、分布、代謝および排泄のプロセスが定量的に評価される。
特にCmax、AUCは薬物の体内曝露を表す指標として薬力学(PD:Pharmacodynamics)、安全性と関連づけられて使用される指標である。

 

PKのみならずPDの経時的な推移を知る

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一方、PDは組織に分布して作用部位に到達した薬物が生体の機能を修飾し薬理作用を発現する過程を研究するものである。
臨床第Ⅰ相試験での探索的なPD評価として、被験薬の作用機序、標的疾患に応じてバイオマーカーの測定が行われることが多い。

被験薬が体内に入り、全身循環から組織へ分布し、受容体、酵素などの標的分子へ作用することになるが、その際の被験薬の標的分子への作用、およびその二次的な作用を示すバイオマーカーを臨床第Ⅰ相試験で測定することにより、PKのみならずPDの経時的な推移を知ることができる
例えば、2型糖尿病薬であるDPP-4阻害薬での血漿中DPP阻害率測定や、経口抗凝固薬であるファクターXa阻害薬におけるファクターXa阻害率、プロトロンビン時間などが該当する。

 

臨床薬理試験が実施されることがある

臨床第Ⅰ相試験(Ⅰb試験)として、少数例の患者を対象とし、安全性、忍容性評価および有効性のシグナルを得るために臨床薬理試験が実施されることがある。
被験薬の作用機序/標的疾患に依存するが、病態生理学的に関連する適切なバイオマーカーが利用できれば、標的作用機序で薬効が発現することを証明する第Ⅱ相ProofofConcept(POC)試験の用法・用量をより科学的に設定することが可能である。

 

臨床第Ⅰ相試験の評価として重要な点

臨床第Ⅰ相試験の評価として重要な点は、得られた安全性、PK、PDのデータを、PKデータを軸として統合し理解することである。
ヒトでのAUC、Cmaxなどの被験者曝露の情報は、安全性、忍容性、PDの情報と関連づけられ、ヒトでの有効性が期待でき、かつ安全な用法・用量の評価に用いられる。
また、PK-PDモデリング&シミュレーションという方法論を用いて、PK-PDの時間推移を定量的に記述できるモデルを構築すれば、POC試験の用法・用量の最適化をより定量的にサポートすることができ、初期臨床開発戦略上、有用な方法になる。

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