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分析化学の役割と法律規制の背景 – 非臨床試験6

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分析化学の役割

ここまで非臨床試験の各論で述べてきたように、分析技術により、動物から採取された血液等試験試料に含まれる開発化合物の量(または濃度)が測定され、また、開発化合物、つまり将来の医薬品の品質を保証する目的で、純度検定等、開発化合物自体とともに、そこに含まれる不純物も測定される。このように分析技術は多くの試験において使われ、得られた数値は各試験間の橋渡しという重要な役割を果たしている。したがって、開発の比較的初期の段階から、当該開発化合物に対し、感度・特異性の高い分析法が設定されていることが必須となるが、将来ヒトにおける体内動態を調べるPK(ファーマコキネティックス)測定法も同時に確立される。用いられる測定方法は試験目的・測定対象試料によるが、TK測定およびPK測定には高感度を必要とする場合が多いので、安定同位体標識化合物を用いた質量分析検出器付高速液体クロマトグラフィー(HPLC/MS法)が品質(安定性)の試験は高い感度を必要としないが、いつでもどこでも確実・正確に実施できる方法、UV検出HPLC法が汎用されている。
最近多くなったバイオ医薬品では物理化学的な分離・検出原理を用いたHPLC/MS法等の機器分析のみでは十分でなく、イムノアッセイ等の分析方法も用いられる。
 

安全性に関する非臨床試験の方法はGLPという基準を国が定めている

毒性や安全性の試験をルール化したGLP
非臨床試験において述べた各種試験のうち、すべての毒性試験および安全性薬理試験の一部(コアバッテリー試験)については、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施に関する基準」(GLP)を守って実施しなければならない。
GLPは、医薬品の承認申請等の試料収集のために行われる安全性に関する非臨床試験の試験施設が守るべき事項を定めたもので、安全性試験データの信頼性確保を目的としている。
 

基準作りは米国がお手本

GLP制定の経緯を簡単に紹介すると、1975(昭和50)年米国上院保健小委員会において、新医薬品販売承認申請のために米国食品医薬品庁(FDA:Food and Drug Administration)に提出された動物実験データに疑問点のあることが指摘された。FDAが当該製薬会社の査察を行ったところ、虚偽または重大な誤りのある動物実験データが発見され、大きな社会問題となった。米国製薬団体は、本件は製薬企業全体の問題であり、責任であるとして、1976(昭和51)年に自主規制のGLPガイドラインを定めた。しかし、FDAは業界の自主規制では不十分であるとの考えから、法律として1970(昭和54)年6月からGLP規制を施行した。

わが国でも、1970年代に起こったスモン事件(整腸剤キノホルムによる激しい腹痛・下痢・下肢麻痺・視力障害・失明を伴う疾患;スモンは亜急性・脊髄・視神経・末梢神経障害の英名の略)を契機に、安全性試験データの信頼性確保への機運が高まり、米国の動きと相まって、1982(昭和57)年3月の厚生省薬務局長通知により1983(昭和58)年4月からGLPが実施されており、1997(平成9)年4月には厚生省令として法制化された。これによって、医薬品の製造販売承認申請のために行われる安全性に関する非臨床試験(毒性試験等)は、そのデータの信頼性確保を目的として法律の規制を受けることになった。

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