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代表的な生体膜透過促進法〜代表的なプロドラッグとそのメカニズムおよび有用性3

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代表的な生体膜透過促進法

一般に、経口投与された薬物のうち、低分子で脂溶性の高い薬物は吸収が良好であることが知られている。
しかし、薬物の中には水溶性が高い低分子薬物や分子量の大きな高分子薬物も数多く見られ、これら薬物を経口投与しても消化管吸収性が悪いことが報告されている

こうした難吸収性薬物の代表例に、抗生物質や生理活性ペプチドがあるが、後者は、ペプチド自体が水溶性や高分子のものが多く、消化管粘膜透過性が低いばかりでなく、消化管内で種々のタンパク分解酵素により分解されるため、経口投与してもほとんど吸収されないものが多い。
したがって、これら難吸収性薬物の消化管および経粘膜吸収性を改善することが、これら薬物の有効性を高めるために重要である。

難吸収性薬物の生体膜透過性を促進する方法がいくつか試みられているが、これらを大別すると
・吸収促進剤やタンパク分解酵素阻害剤などの製剤添加物の利用
・薬物の分子構造修飾
・薬物の剤形修飾
・薬物の新規投与経路の開発
などに分類できる。

製剤添加物の利用

吸収促進剤 一般に、難吸収性薬物の吸収を改善するためには、消化管やその他の吸収部位におけるこれらの薬物の粘膜透過性を一過性に上昇させる添加物を利用する場合が多い。

こうした作用を有する添加物を総称して吸収促進剤とよぶ。
現在までに多くの物質が吸収促進剤として利用されているが、代表的なものには界面活性剤、胆汁酸、キレート剤、脂肪酸などがあげられる。
これら吸収促進剤は、従来、消化管投与に対して用いられてきたが、最近では、経鼻、経肺、口腔、直腸、経皮などの各種粘膜吸収経路についても利用されている。
ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどに代表される界面活性剤、グリココール酸などの胆汁酸、EDTAなどのキレート剤、カプリン酸などの脂肪酸が典型的な吸収促進剤として用いられている。

また、最近では一酸化窒素供与体などの新しいタイプの吸収促進剤も開発されている

吸収促進剤の効果は、吸収促進剤自体の物性、適用部位差、種差などにより左右されることが知られている。
また対象薬物の分子量により吸収促進効果が大きく変動することが報告されている。

さらに、一般に、消化管各部位に吸収促進剤を適用した場合、大腸における吸収促進効果が小腸に比べ顕著に発現することが報告されている。

吸収促進剤の吸収促進機構の詳細については、まだ明らかでないものが多いが、界面活性剤や胆汁酸塩類は、細胞膜を可溶化して上皮細胞のバリアー機能を低下させ、薬物の透過性を増大させることが知られている。

また、キレート剤の一種であるEDTAは、細胞間の接合部位のCa2+イオンを除去することにより細胞間隙を広げ、薬物の透過を促進すると考えられている。
一方、オレイン酸などの不飽和脂肪酸は、脂質二重膜に作用し、その流動性を高めることにより吸収を改善することが知られている。

吸収促進剤が実際に臨床応用された例としては、アンピシリンおよびセフチゾキシムの小児用坐剤に添加されたカプリン酸ナトリウムがある。
このように難吸収性の抗生物質の吸収改善に吸収促進剤が利用されているが、一般的には促進効果が強い添加物は、同時に粘膜障害性や刺激性の見られるものが多い。

したがって、今後さらに促進効果が強く、なおかつ粘膜障害性の少ない理想的な吸収促進剤の開発が期待される

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