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消化管吸収性の改善〜代表的なプロドラッグとそのメカニズムおよび有用性1

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プロドラッグは、薬物が有する種々の欠点を改善するため、その薬物の分子構造を一部修飾したもので、体内に入って修飾目的を達成した後、化学的あるいは酵素的に元の薬物(Parent drug)に復元されて薬理活性を発現する化合物である。

プロドラッグ修飾には種々の目的があるが、主なものには吸収性の改善、水溶性の増加、安定性の向上、作用の持続化、標的組織への選択的移行性の増強、毒性および副作用の軽減、不快な味や臭いのマスキングなどがあげられる。

また、プロドラッグに対して、化学修飾した化合物自体も薬理活性を示すものをアナログという

消化管吸収性の改善

経口投与後の薬物の消化管吸収性改善を目的としたプロドラッグのうち、メチルテストステロンはテストステロンの17位にメチル基を導入したもので、肝臓での初回通過効果を回避でき、プロドラッグ化によって経口投与を可能にし たものである。

また、チアミンは水溶性が高いため経口投与ではほとんど消化管から吸収されないが、プロドラッグ化してフルスルチアミンとすることにより脂溶性が増大し消化管吸収性を改善することができる。

βラクタム系抗生物質の一種であるアンピシリンは、分子内にアミノ基とカルボキシル基を持ち、消化管内では両性イオンとして存在するため脂溶性に乏しく吸収率が低い。

タランピシリンは、アンピシリンのカルボキシル基に脂溶性の官能基を導入したプロドラッグであり、消化管粘膜に速やかに吸収され、上皮細胞内でエステラーゼの作用や加水分解により親薬物であるアンピシリンに変換され、高い血中濃度が得られる。

アンピシリンのプロドラッグには、この他にバカンピシリン、レナンピシリンなどがあり、いずれもアンピシリンよりも消化管から良好に吸収されることが知られている。

一方、薬物の消化管内での安定性を向上させることで吸収改善を達成したプロドラッグの例もある。

エリスロマイシンのプロドラッグであるエリスロマイシンステアリン酸塩は、酸に不安定なエリスロマイシンをエステル化して胃酸中での溶解性を低下させて安定にしたものである。

溶解性の改善

リン酸やコハク酸を用いてエステル修飾を行うと、難溶解性薬物の溶解度を改善することができる。

ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムはヒドロコルチゾンにコハク酸を導入し、さらにナトリウム塩としたものであり、注射剤として実用化されている。
同様の例には、リボフラビンリン酸エステルナトリウムやクロラムフェニコールなどがあり、リボフラビンリン酸エステルナトリウムはリボフラビンをプロドラッグ化して水溶性を高め注射剤として用いている。

作用の持続化

作用の持続化を目的とするプロドラッグには、親薬物の生成を遅くするものと、組織への滞留性を向上させて徐々に親薬物を放出させるものがある。
本目的で合成されたプロドラッグは、薬物にエステル基などを導入したタイプが多く、体内で徐々に分解されて親化合物となり、薬理作用を持続することができる。

このようなプロドラッグの例としては、テストステロンエナント酸エステル、エノシタビン、テガフール、カルモフール、アラセプリルなどがある。
テストステロンエナント酸エステルは難溶解性で油性注射剤とすることにより作用が長時間持続する。

エノシタビンは白血病の治療に用いるシタラビンの4位のアミノ基をアシル化したものであり、シチジンデアミナーゼによる脱アミノ化を制御したプロドラッグである。

テガフールやカルモフールは5-fluorouracil(5-FU)の誘導体であり、5-FUに比べて脂溶性が高いため、消化管からの吸収が良好であり、血中および組織中に滞留して、長時間にわたり5-FUを放出する。

また、アラセプリルはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤であるカプトプリルをチオール基とカルボキシル基を保護したものである。

チオエステル部分はただちに加水分解を受けるが、アミダーゼによるアミド結合の分解は徐々に起こるため、カプトプリルを持続的に生成する。

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