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医薬品承認後の製品改良や適応の拡大

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新薬開発の過程、特に治験段階では高齢者や小児、妊産婦などは治験対象から除外されることが多く、承認時の段階ではデータが存在しないため、小児の適用(用法・用量など)がない場合が珍しくない。
また添付文書中の「小児における有効性・安全性は確立していない」という主旨の記載により、医療現場ではこれらの患者に的確に使用できず、対応に苦慮することがある。
このような事情は、肝障害や腎障害などの合併症がある患者への使用や、他の医薬品との併用、妊婦・授乳婦における使用についても同様である。
さらに適正使用情報の集積から、ある特定の疾患や遺伝的素因のある患者にはリスクが高まるために使用できないこともある。

このため、例えば承認条件などで小児への適応拡大を求めたり、また偶然妊婦・授乳婦に使用された場合の使用経験を収集してリスクの程度を評価する材料とすることも行われる。

 

新たな適応の可能性が発見され、実用化に結び付くことも

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有効性の面では、市販後使用経験が深まるなかで新たな適応の可能性が発見され、実用化に結び付くこともある。
これには例えば解熱鎮痛薬アスピリンの少量適用による抗血小板薬としての応用や、抗がん薬メトトレキサートの少量かつ間歇的な適用によるリウマチ性関節炎への適用拡大などがある。
高齢者では嚥下障害などがあり大型の錠剤は服用しにくい場合があるが、これをOD錠(口腔内崩壊錠)やゼリー剤を開発することで克服したり、初回通過効果のある経口剤から直接血中に入る貼付剤に変更するケースなども知られている。

このように市販後に至っても医療現場での利便性向上や患者からみた使用しやすさの改善、工夫などが頻繁かつ積極的に行われている

 

ベネフィット・リスクバランス改善に向けた持続的努力

ある医薬品にとって新たな患者に使用され、その経験が記録、蓄積、評価され、最終的には添付文書の改善や剤型改良、適応の追加などにフィードバックされることは、ベネフィット・リスクバランスを高めるための基本的な前提条件である。
この循環の成立は、医療現場にある薬剤師や薬学を学んだ者が、いかに積極的に患者や他の医療関係者と協働し、業務や服薬指導などに関わっていくかにている。
また企業や行政、教育の現場におけるライフサイクルマネージメントや育薬の重要性についての理解と推進が改めて求められている。

医学・薬学の進歩はきわめて早く、常に優れた新薬の登場や薬物療法の工夫がなされ、ベネフィット・リスクバランスの改善を後押ししている。
医薬品の価値の大部分は、その医薬品に伴う情報の量と質であり、その意味で医薬品を鍛え、磨き、優れたベネフィット・リスクバランスをもつ医薬品に育てる努力は、その医薬品が市場に置かれる限り続けられる。

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