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分析・報告・判断~医療用医薬品 市場調査の適用6

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分析・報告・判断

分析・報告・判断をする際に留意しなければならないことは、データの解釈です。
特に、もっとも重要なアウトプットであるプリファランスシェアについて解釈する場合には注意が必要です。

なぜならば、経験的にプリファランスシェアをそのままマーケットシェアとして使うということはできないからです。
実際に既存製品の調査をしてみるとわかるのですが、プリファランスシェアが実際の患者シェアと同じ値になることほとんどありません。

以下にその代表的な理由を示します。

時間差の問題

医薬品は切り換えの起こりにくい製品であるために、発売されて間もない製品の場合は、プリファランスシェアと比較して患者シェアが追い付いていっていない場合があります。

情報量の問題

発売されて間もない製品や発売前の新薬は、長期にわたって市場にあった製品と比較して製品に関する実績情報が少ないために、それぞれの属性に実データに基づく水準ではなく、仮想の水準を含めた製品特性を提示する場合があり、そのような場合は往々にして望ましい、理想的な水準を選択する傾向にあります。

つまり、新製品の製品特性は理想的になりがちであり、調査の結果は上振れすることになります。
あるいは参加者の新製品に対する期待感も伝って、新製品のプリファランスシェアは経験的に高くなることが多いです。

そもそも実際に参加者が日々使っていて良く知っている製品と、仮想的な製品特性とを同じ基準で比較することは難しいです。

調査一般の問題

これは医薬品に限らずあらゆる調査で言えることであるのですが、調査の参加者は必ずしも正直に自分の頭の中を開陳してくれるとは限らないのです。

特に医師や患者の場合は、その疾病に対して何らかのバイアスがかかっている場合も多く、またたとえば医師の場合は治療ガイドラインに沿った治療を実際には行っていなくても、あるいは頻繁に適用外使用を行っていたとしても、そのようには正直に話さない状況も十分に想像できます。

このような問題があるために、調査の結果が示された場合でも、その解釈については十分に吟味してから報告書を作成する必要があります。
特に社内に当該調査分野の営業部隊がいるような場合には、あらかじめ医師の傾向などを訊いて理解を深めておくとよいでしょう。

調査結果の経営層への報告にも注意が必要となります。経営層は自分の直感と異なるような調査結果が報告された場合には、まず調査の方法論について質問をしてきます。
多くの製薬企業の経営者は、自分のキャリアの中で何らかの市場調査を経験してきており、市場調査の方法論については厳しく追及しがちです。

したがって、仮に経営層の期待とは異なる結果が出てきたとしても十分に反論できるだけの論拠を用意しておくことと、経営層の期待がどのあたりにあるのかということを、報告会議の前にあらかじめ把握しておくことは、社内政治的にも重要なことです。

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