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組換え体医薬品の有用性~組換え体医薬品の特色と有用性2

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製造工場としての大腸菌の特徴

安全性が高く、遺伝実験系が高度に確立していること、増殖が早く培地などに必要なコストが低いことから、組換えタンパク質の生産性は高いが、1.糖鎖付加などの翻訳後修飾能を持たないこと、2.生産タンパク質を細胞外に分泌させることが困難であることから、生産されたタンパク質が細胞質内に不溶化した状態で蓄積するために、工業的には多大なコストを要求される菌体の破壊やタンパク質の高次構造形成(フォールディング)のための処理が必要とされることがある。

したがって、分子量が小さく、糖鎖付加が活性に影響を与えないタンパク質の生産に適しているが、いずれにしても菌体に由来するエンドトキシンであるリポ多糖の除去が必要である。

製造工場としての酵母の特徴

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単細胞真核生物である酵母の安全性は高く、正しい高次構造を持つタンパク質が比較的容易に生産できるが、欠点として、組換え細胞が不安定であること巨大な糖鎖が付加されたり、逆にされない場合などがある。

したがって、糖鎖付加が活性に影響を与えないタンパク質で、大腸菌では高次構造の再構成が容易ではない場合の生産に適している。

製造工場としての動物細胞の特徴

人工的な培養が可能である株化した動物細胞が利用される。
動物細胞ではタンパク質への糖鎖付加などの翻訳後修飾が正確に起こるため、糖タンパク質や正しい高次構造を持つタンパク質を発現させることができるために高分子タンパク質の生産に適している。

しかし、現在の技術では糖タンパク質に付加される糖鎖の構造の人工的な変換は不可能である。
動物細胞の欠点として、1.培養に動物(主にウシ)由来血清が必要なことが多いこと、2.高密度培養が難しいことから生産コストが高いことがあげられる。

組換え体医薬品の有用性

インスリンが組換えDNA技術によって生産され、糖尿病の治療薬としてなくてはならないこと、またはヒト臓器や血液などからホルモン等を抽出する限り、未知病原体等による汚染の心配がつきまとう。
事実、ヒト成長ホルモンが死体から抽出されることによって起こったプリオン感染という不幸は、ヒト成長ホルモンを組換えDNA技術を駆使することによって過去のものとなった。
組換え体医薬品は高度な生理的機能を持つという点で、非常に有用性が高く、これは低分子有機化合物には期待できない生理的機能と考えられる。

ある種の疾患の病態研究では、産生量が特異的に変動するタンパク質の機能が研究される。
この標的となったタンパク質がこの疾患の進行の防止に働くようなものであった場合、このタンパク質を組換えDNA技術によって大量生産し、医薬品を生み出すことができる可能性が高く、最新の生命科学の知見や医療に反映させやすいといえるかもしれない。

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