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非臨床試験、臨床試験による安全性確保~組換え体医薬品の安全性

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組換え体医薬品の製造には細菌細胞、酵母細胞や株化細胞が使われ、時には血清などの生体由来材料も使用されることから、製造工程の確立と管理維持や感染性物質などの不純物の混入、また細胞内でのタンパク質合成という生体反応を利用することなどによる問題点がある。

また、化学合成医薬品とは異なるタンパク質であるため、構造的多様性や不均一性などに対する配慮が必要である。
また、組換え体医薬品といっても、さまざまに異なることから、画一的なプロトコルはなく、対象組換え体医薬品の作用や物性の特徴や臨床での適用法などを考えて、対象組換え体医薬品ごとに合理的に安全性を確保する必要がある。

有効成分に起因する問題点の回避

生理的機能を持つタンパク質の発現時期、発現場所、発現量は厳密に制御され、他の生体分子と協調・拮抗的に働きながら生体の恒常性(ホメオスタシス)維持のために機能している。

そこで、生理的機能を持つタンパク質を人為的に投与することによって、生理的濃度を超えた状態や、本来存在しない部位にまで分布する状態が生じることがある。
それによって、目的外作用の発現や、生体のホメオスタシスの破綻を招くことも起こる。
したがって、期待する薬効や作用メカニズムの研究に加えて、目的外の作用についても開発段階で十分に検討する必要がある。

製造工程由来不純物に起因する問題点の回避

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組換え体医薬品に混入する可能性のある不純物として、1.生産細胞由来のタンパク質・多糖・核酸、2.目的タンパク質の凝集体や分解物が考えられる。
不純物を完全に除去することが難しい場合もあるので、製造方法などを考慮し、試験方法や安全性評価法を考案する必要がある。

生産細胞由来の汚染物質として、宿主に使用した細菌由来のリポ多糖(LPS)などの発熱物質(pyrogen)や混入した微生物などの外来性有害因子がある。
外来性有害因子であるウイルス、細菌、真菌、プリオンなどの混入は重大な問題であるので、感染性物質が存在しない製造用細胞系や製造関連物質の使用や製造工程二感染性物質の除去や不活化の工程が必要であり、製造工程中で感染性物質否定試験の実施などが必要である。

製造工程の管理と品質評価

組換え体医薬品の製造で重要な工程は、組換えタンパク質の生産細胞の樹立とタンパク質発現制御である。

一定の品質を保持した組換えタンパク質を供給するためには、性状が安定な生産細胞を使用することが必要である。
とくに、株化細胞を使用する場合には、一定の性状を安定に保持させることは困難である。
そこで、タンパク質生産細胞は厳密に管理・維持されている。これをセルバンク(cell bank)という。

非臨床試験、臨床試験による安全性確保

化学合成された医薬品と同じように、安全性と有効性を確かめるために、非臨床試験や臨床試験が行われる。
しかし、組換え体医薬品の非臨床試験、とくに動物を用いた試験では、対象医薬品の種特異性や抗原性に留意すべきである。

また、組換え体医薬品とそれに混入する可能性のある不純物は高分子であることが多いので、目的成分や不純物が免疫反応などの生体反応を引き起こし、それによって有効性、安全性に影響する場合もある。
これらのことから、臨床試験では、局所的および全身エネルギー、抗体産生やそれによる相互作用による薬物動態の変化、投与部位の変化、発熱性については十分に検討すべきことが求められている。

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