HOME > すべての記事 > 国際共同治験 > 外因性民族的要因について~国際共同治験5

外因性民族的要因について~国際共同治験5

733view

外因性民族的要因が評価に及ぼす影響

外因性民族的要因としては気候、環境汚染のほか、文化、教育水準、医療習慣、治療法あるいは規制や臨床試験の実施方法などが記載されており、ここにもさまざまな要因があることがわかる。

医療慣習や治療法とは、どのような医薬品がどのような適法や用法・用量で使用されているのかといったことで、これが治験に参加する国・医療機関で大きく異なっていると、治験薬を投与する患者の状態が異なることとなり、結果として治験薬に対する患者の反応性などに差が生じる可能性がある。
文化、教育水準などがどのように医薬品の効果に影響を与えるのかと不思議に思われるかもしれない。ここであげられている要因は、外国で実施されている治験の結果を適切に評価する上で考慮すべき事項であって、医薬品の効果に直接的な影響を及ぼす因子ばかりではない。

スケールにおける質問事項の改訂

karute
文化、教育水準などの外因性民族的要因は、評価項目が主観的である場合などに大きな影響を及ぼす可能性がある。

例えば、社会不安障害という精神疾患の治験では、Liebowits 社会不安尺度というものが医薬品の有効性の指標として用いられる。この尺度の1項目として、英語のスケールでは「パーティーに行く」あるいは「パーティーを主催する」ときに不安を感じるとか、行きたくなくなるかというような質問がある。
しかし、日本のスケールでは「宴会への参加」あるいは「宴会の開催」といった表現に改訂されている。米国などのホームパーティーが日常的に行われているような国や地域においては、そういったパーティーの主催あるいはパーティーへの参加が社交性を評価する1つの指標になりうるが、ホームパーティーを開催して他人を招くことが必ずしも日常的ではない日本では、パーティーへの参加が症状の程度を示す指標とはならない可能性がある。
そこで日本では、居酒屋などでの宴会を題材として患者に質問した方がより適切な回答が得られると考えられ、スケールにおける質問事項が改訂されている。

また、質問内容は適切でも、教育水準などの違いによって、意味を正確に理解できない場合にも結果が異なる可能性がある。このように医薬品の効果に直接的でなくても、文化、教育水準といった外因性民族的要因が、治験結果に影響を及ぼす可能性がある。

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「国際共同治験」カテゴリの関連記事