HOME > すべての記事 > 国際共同治験 > 国際共同治験を実施する上での留意点~国際共同治験4

国際共同治験を実施する上での留意点~国際共同治験4

742view

国際共同治験を実施する上での留意点

では、国際共同治験を実施する上で留意すべき点としては、どのような事項があるのだろうか。この点については、2007年に厚生労働省から「国際共同治験に関する基本的考え方について」という通知(以下、「基本的考え方」)が発出されている。

日本が抱えるドラッグ・ラグ(国内での新薬承認時期が諸外国よりも数年遅いという問題)を本質的に解消するためには、わが国における医薬品の開発時期を諸外国と同調させる必要があり、その手段の1つは、日本が国際共同治験へ積極的に参加することと考えられる。
しかし、ただ参加すればよいのではなく、評価のために適切なデータを収集できるように計画する必要がある。
この通知は、検討事項とそれに対する考え方を示すことで、医薬品開発における企業側の検討を促し、日本の積極的な国際共同治験への参加を推進することを目的としている。

試験の信頼性

国際共同治験に参加するすべての国や医療機関は、ICH GCPに準拠した臨床試験が実施可能であり、GCP調査(査察)への対応が可能でなければならない。
被験者保護と試験データの信頼性を確保する観点から重要である。

国際共同治験は、前述のとおり1つの治験にさまざまな国や地域が参加することになる。したがって、日本の医療機関だけがGCPに準拠していても、信頼性は確保されない。
欧米だけでなく発展途上国も含め、国際共同治験に参加するすべての国・医療機関において、ICH GCPに準拠して試験を実施することが必要となる。

実際には、前述のとおり、ICH地域以外でもICH GCPに基づく治験の実施が可能な国や医療機関は数多く存在している。

民族的要因が評価に及ぼす影響

minzoku
国際共同治験を計画する際には民族的要因についても考慮して計画すべきであり、ICH E5ガイドラインに基づく検討が有用である。国際共同治験を計画する上で最も重要と考えられる。

民族的要因には、内因性民族的要因外因性民族的要因がある。これはICH E5ガイドラインに記載されている要因で、医薬品の有効性あるいは安全性に影響を及ぼす可能性のなる因子として明示されているものである。

民族的要因については内因性と外因性があり、内因性民族的要因の具体的因子をみると、性別、年齢、身長、体重、肝・腎機能といった因子が明示されている。
また体重が重い人と軽い人、あるいは腎臓の機能が正常な人と障害のある人では、医薬品の効果(有効性/安全性)に違いがあることは容易に想像できると思われる。
代謝酵素や受容体の遺伝子多型の差異により医薬品の効果に差があるものも認められており、内因性民族的要因だけをみても、さまざまな因子が医薬品の効果に影響を及ぼす可能性のあることがわかる。

なお、内因性民族的要因の1つとして人種が取り上げられていることからもわかるように、これらの要因は異なる民族間だけではなく、個人間でも差異を生じる要因でもある。
つまり、同じ日本人患者であっても、年齢・体重や性別はもちろんのこと、遺伝子多型や肝・腎機能などの内因性民族的要因に差異があれば、医薬品の有効性あるいは安全性に大きな差異が生じる場合があることを補足しておく。

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「国際共同治験」カテゴリの関連記事