HOME > すべての記事 > その他、研究関連 > 仮定と前提の置き方で結論が左右される~薬剤経済学とは何か

仮定と前提の置き方で結論が左右される~薬剤経済学とは何か

139view

薬剤経済学の重要なキーワード

カナダの薬剤経済学のガイドラインでは、薬剤経済学は「医薬品の費用と効果を適切な対照治療法と比較する研究」としています。
また、FDAの薬剤経済学的な内容の広告に関するガイドライン案では「価格や費用対効果あるいはその他の費用比率及びQOLの観点からの医薬品の費用と効果の測定」としています。

したがって、薬剤経済学の重要なキーワードは、「医薬品」と「対象治療法」と「費用」と「効果」ということになります。

対照となる治療法との比較

「薬剤」経済学ですから、医薬品がなければ話になりません。
そしてこれを対照とする治療法と比較するのですが、対照となるものは薬でなくてもかまいません。時には「何もしない」ということも比較の対象に加えます。

対照となる治療法との比較は、それぞれの費用対効果を計算してその大小を比較するということもありますし、対象となる治療法からの増分を求めてるということもあります。

とくに新しい治療法のほうが、対象となる治療法に比べて効果も高いが費用もかかるという時には、この増分費用を求め、それが受け入れられるかどうか検討するということもあります。

仮定と前提の置き方で結論が左右される

効果と費用については、何を交換(便益)と考えるのか、また何を費用と考えるのかを整理する必要があります。
これは、分析の視点、すなわち誰の立場に立って分析を行うのかの問題で、そこが正確に整理されていないと、加えなくてはならない費用を見落としてしまったり、加えてはならない便益を加えてしまったりということが生じてしまいます。

薬剤経済分析を行うには、多くの仮定や前提を必要とします。
なぜなら、今分析をしたいと思っているのは、効果の分析に利用する臨床試験が行われた特殊な状況下ではなく、現実の医療の場だからです。

手元にある臨床試験の成績を現実の医療に当てはめるためには、いくつもの仮定や前提が必要になってくるわけです。
その仮定や前提が、正しいかどうかは意見が分かれるところです。

そこで普通、この仮定や前提をいろいろ変化させて分析を行います。
これは感度分析とよばれ、どのように仮定や前提を変化させても結論が変わらなければ、自信をもってその結論を述べることができるのですが、多くの場合は、仮定や前提の置き方によって結論が変わります。

そのため薬剤経済分析は、結論を押し付けるのではなく意思決定者が判断できるように結果を提示するものであるといわれます。

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「その他、研究関連」カテゴリの関連記事