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費用とアウトカムの推計の不確かさに対する考慮~薬剤経済分析を論文評価に活かすポイント5

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費用とアウトカムの推計の不確かさに対する考慮が払われているか

薬剤経済分析を行うにあたっては、費用とアウトカムを数値化することが必要ですが、この数値は必ずしも揺るぎない1つのものが得られるわけではありません。

例えば有効率をみても、臨床試験の結果は、その薬の対象となる患者全体を母集団とした集団から抽出した標本集団で行われた結果で、それを基に母集団での効果を推定しているわけですから、当然、ある信頼限界を持った幅としてとらえられるべきです。

これは副作用の発症率や、症状が進行する率などについても同じことがいえます。
また、費用についても薬価のように1つに決まるものもありますが、同じ薬剤費でも購入価格を問題にするのであれば幅があるでしょう。

そういった本来幅のある数値のどの数値を用いるのが公正でなければならないし、そのためにはどのような根拠でその数値を用いたのか、説明されなければなりません。

感度分析という方法

例えば比較臨床試験結果で、新しい薬剤の方が対照薬よりも有効率が高かった場合、有意差がないのにもかかわらず、アウトカムとして出された有効率をそのまま用いれば、新しい薬剤のほうが費用対効果がよいという結果を導くことも可能になってしまいます。

この問題を解決する方法として、感度分析という方法があるのです。
これは費用にしても効果にしても、あるいは発症率のような確率についてでもよいですが、変動する可能性があるものをいろいろと変えて分析を行ってみることです。

どのように変えてみても結論が変わらなければ、その結論は信頼性の高いものということになります。
普通はどこかで結論が逆転しますから、その逆転が生ずる条件を意思決定者に示すことで、意思決定がしやすくなるでしょう。

価格を変動させた感度分析

新薬の薬価算定に薬剤経済分析を使う場合は、新薬の価格が決まっていませんから、この価格を変動させた感度分析が行われます。

必ずある価格で結論が逆転して、対照とした治療法の方が費用対効果はよくなります。
その境となる価格よりも申請の価格の方が低いので、申請薬価は費用対効果の面でも優れているという結論を出すわけです。

しかし、意思決定者である保険サイドからみれば、その境となる価格以下ならばどのような価格でも費用対効果はよいわけですから、結局申請薬価が妥当であることを示す別の説明が必要になるということになります。

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