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メタアナリシスにより統合して評価~薬剤経済分析を論文評価に活かすポイント2

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意思決定者が求める現実の世界での判断材料

意思決定者が求めているのは現実の世界での判断材料です。従って理想的には、実際の医療を反映した状況下での臨床試験に基づいて評価が行われるべきです。
ここで実際の医療を反映するとは、選択された患者の背景、治療法の選択あるいは効果が得られなかった場合の措置などさまざまなものを考えなければなりません。

しかしながら実際には、臨床試験は科学的、倫理的な理由から実際の医療とは異なった状況下で行われます。
そこで試験結果に基づいて実際の医療への外挿を行うことになるのですが、それが妥当なものであるかどうかによって分析結果が大きく左右されます。

英語では臨床試験で実際に得られた効果のことをefficacy、実際の医療で期待される効果のことをeffectivenessとよびます。

臨床試験の結果と費用について

ところで、必ずしもいつでも信頼性の高い臨床試験の結果が利用できるわけではありません。
利用できない時は信頼度の低い試験成績をやむを得ず用いますが、その結果どのようなバイアスが生じるおそれがあるのかをよく検討する必要があります。
また、根拠とした試験がいかに信頼のおけるものであっても、そのなかから都合のよいものをつまみ食いするような事があっては問題です。

それぞれの代替案について、重要で密接に関連する費用と効果が全て同定されているか、薬剤経済学の分析では費用とアウトカム(効果)の測定が不可欠であることはこれまでも繰り返し述べてきました。
何を費用として取り上げるか、何を結果として取り上げるかは、分析の立場によって変わることも説明しました。費用については、費用の出所が問題です。

この費用とアウトカムを混乱させることなく、また必要なものを落とすことなく取り上げることが最も重要です。

しかし、社会の立場で分析したときに、どの範囲までの費用を考えるかはとても難しい問題です。
医療に関係するあるひとつの政策を実施すれば、医療以外の様々な活動が影響を受けます。その結果生ずる費用をどう取り上げるかは、結局意思決定者次第ということになるのかもしれません。

なお、費用には金銭では表せないもの、例えば苦痛とか不安なところがあることにも留意すべきです。

アウトカムの効果について

アウトカムの中には、通常の効果ではなく金銭(便益)で表されるものがあります。すなわち費用の軽減をもたらすものです。副作用を防ぐなどというのはその一例です。
将来必要となるはずだった費用がかからなくなるというのもあります。この便益は負になることもあります。延命によって入院費が増えるなどというのはその例です。

一方、アウトカムの中にはQOLのように効用として表されるものもあります。
関連する費用やアウトカムをすべて取り上げるべきと述べましたが、それらの測定は必ずしも容易ではありません。測定のために大きな費用を要することがあります。

そのようにして測定した費用や結果、全体の分析結果に与える影響が小さいのでは、分析の「費用対効果」が悪いということになります。

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