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患者が知りたい最も経済的で有効な治療法~薬剤経済学 分析の視点を踏まえる6

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臨床試験の成績は確率である

効果にしても、臨床試験の成績は確率です。

例えば有効率30%というのは、100人の患者がいれば、そのうち30人には有効だということで、有効だった人にとっては有効率100%だし、無効だった人には有効率0%だったということになります。
確率で話をすることと、個人について話をすることとの違いです。

今、有効率50%の薬と30%の薬があったとしましょう。
教科書的な薬剤経済分析ではこの有効率を分母に、要する費用を分子において、費用対効果比をそれぞれ出して比較することになるわけです。

有効率50%の薬(薬A)の方が費用対効果がよければ、つまり費用を高価で割った値が小さければそれでおしまいです。
有効率30%の薬(薬B)の方が費用対効果がよければ、さらに効果を引き上げるにはどのくらい費用を追加すればよいかを算出します。

これは「増分費用対効果比」とよばれ、具体的には二つの薬の費用の差を効果の差で割ります。
例えば1%有効率を上げるには、○円追加する必要があるというようになるわけです。

患者の立場からの選択

さてこの場合に、患者への説明は次のように進むでしょう。

効果の割に値段が安いのは(あるいは値段の割に効果が高いのは)薬Bです。お金に余裕があるならば薬Aの方がよく効きます。その場合有効率1%あたり、○円支払っていただく計算になります。

どうですか?患者になってみて考えてください。これで薬を選ぶことはできますか。

患者にとって重要なこと病気がよくなることです。そして知りたい事は、そのためにもっとも経済的な方法は何かということです。
だから薬Aと薬Bとを比較してどちらが得か、ということではすまないでしょう。

患者の中には、安い薬で治る可能性があるのならそれを使いたいという者も出てくるでしょう。
そこで安い薬で良くなるのであればそれに越したことはないので、まず安い方の薬Bを使って、それで効果がなければ薬Aに切り替えることを考えます。

しかし、治療期間が長くなってかえって損ということも考えられるので、どこで薬剤を切り換えるかがポイントになります。
悪化してしまうと、効果の高い薬でも有効率が下がってしまうと思われるからです。

比較のために高いほうの薬Aから始めて、効果がなければ薬Bに切り替えるという場合も考えます。
ここで、さらにどの時期で切り替えるかをいろいろ変えてみます。これで効果がなかったらどの時点で切り替えるのが最も経済的かが計算できます。

セルフメディケーションでの応用

これと同じ考えが、セルフメディケーションでも応用できます。大衆薬で治療して、効果がなければ医者へいくというケースです。

ただし、セルフメディケーションを利用しようとする人の中には、時間を惜しんで医者にいかない場合もあるでしょう。
この人たちの場合には、時間の価値を示し、分析には組み入れていく必要が出てきます。

ここまで、薬剤経済学とは意思決定者に対して判断材料を提供する学問であることを説明し、例として保険局(保険者)、病院長、医師そして患者が意思決定者の場合の費用、効果、対照の治療法を考えてみました。

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