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評判や患者負担の問題も~薬剤経済学 分析の視点を踏まえる4

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病院の評判

病院長の場合、もう1つの観点があります。それは病院の評判ということです。
評判が悪くなって患者が減れば、一人ひとりの利益は多くても全体としては利益が減少するということが起こります。

病院の評判につながるのは、治療効果と費用です。
費用対効果の最も良い治療法を選択した結果、治療成績が下がることもあるわけで、あの病院ではなかなか治らないということで患者が減っていくということがあるかもしれません。

わが国の場合は、医療機関の広告が厳しく制限されているので、実際には医療機関同士の治療成績を比較することは患者にはできません。
ですが、それでも極端であれば評判になるし、治療に長期間を要するようだと別の医療機関に行ってみようかと考える可能性があります。

患者の自己負担

もう一つは患者の自己負担です。
病院にとってはどんなに高価な治療法であっても、医療保険でカバーされる限りは気にする必要はありません(もちろん高価な薬がデッドストックになるというような問題はある)が、現在の医療保険では、患者負担は定率なので、自己負担の額が大きくなります。

治療効果や自己負担の額がどのくらいだったらどう評判に結びつくのかという決まった数字があるわけではないので、意思決定者すなわち病院長の判断となります。

このように、判断する場面が多ければ多いほど、分析結果の提供者は、いろいろなシミュレーション結果を提示したり、前提を少し変えて分析し直してみる感度分析の結果を提供する必要があります。

包括払いの医療機関では薬剤経済分析結果が生きる

ところで、診療報酬にも出来高払いでない包括払いのものが増えてきました。
診療に要する費用全部でなくても、一部の費用を包括するという点数も多くあります。

そういった場合、薬剤費や検査料はまず間違い無く包括されています。いまのところ入院での包括払いが多いですが、小児の外来や在宅医療でも包括払いが行われています。
この包括払いを選んでいる医療機関では、薬剤経済分析結果が活きてきます。出来高払いのところであげた支出がそのまま「費用」となります。

この場合、実際の購入価格や人件費の代わりに診療報酬の点数や薬価を使うことでもよいかもしれません。
もちろん、出来高払いの場合と同じように、収入と支出の差を費用としてもよいのですが、収入が一定ですから、意思決定者が判断する上では支出をそのまま費用として問題がないのです。

出来高払いを選ぶか、包括払いを選ぶかは医療機関の選択なので、分析に当たってはどちらを選んでいるのかをみる必要があります。
あるいは、支払い方法による違いを示す必要があります。

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