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化合物を使わないバーチャル・スクリーニング – 医薬品研究開発の基礎知識3

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開発候補化合物探索の実際

リード化合物を見つけるスクリーニング手法の進化
スクリーニング系は省力化へ
創薬ターゲット(標的)分子とそれに対するリガンドや基質・代謝物がわかれば、これに基づいたスクリーニング系が構築され、これを用いてリード化合物の探索が開始される。スクリーニングとは、多くの化合物の中から目的とする生物活性のある化合物をふるい分ける作業で、受容体および酵素を例にとれば、それぞれ受容体拮抗作用および酵素阻害作用を示す化合物を探すことになる。
・ロボットによる省力化
かつては手作業で行われていたスクリーニングは、最近はHigh Throughput Screening(HTS)と呼ばれる省力化された方法で行われる。HTSとは、ロボットを用いて短期間で膨大な数の化合物をin vitro試験(試験管内の試験)で評価する大量高速スクリーニング法である。現在では、1日で10万個以上の検体を評価することも可能である。この方法によりリード化合物が発見される確率は0.1%以下といわれている。近年、こうして得られたリード化合物の開発へと進む確率が、期待より低いという現実に直面しており、より質の高いリード化合物発見のためにHTS技術の多面的な改良が行われている。
 

化合物を使わないバーチャル・スクリーニング

また、近年のコンピュータ技術の発達や蛋白質の立体構造に関するデータベースの充実により、実際に化合物を取り扱わずにコンピュータ上で仮想的に行うスクリーニング(=Virtual Screening)も用いられている。これは、創薬ターゲット蛋白質(酵素や受容体)の立体構造情報を利用して、その蛋白質により強く結合する低分子化合物の化学構造をコンピュータ上で選び出してから、実験的に生物活性を調べることによってリード化合物を見出そうという、効率性を目指す方法である。
 

化合物ライブラリーからリード化合物の発見へ

化合物の図書館
スクリーニングのところで述べたHTSを効率的に遂行するにはいくつかの条件があるが、技術的な条件は整っているとすると、化合物ライブラリーの多様性および質・量的な安定供給が重要である。化合物ライブラリーとは、合成あるいは入手したすべての化合物(天然物の抽出物も含む)をそれらの情報とともに登録・貯蔵し、必要に応じてスクリーニングに供される化合物群である。多様性とは化学構造上、基本骨格の種類に富むことで新規の生物活性をもつリード化合物の発見には、特定の骨格の類縁体のみで構成されるよりも好ましい。リード化合物の探索手法は、この化合物ライブラリーを網羅的にスクリーニングするランダムスクリーニングが一般的である。最近の化合物ライブラリーは数より質に重点を置いており、構造や物理化学的性質で多様性をしめすドラッグライクな化合物をコンピュータ上で識別し、これらを中心としたより少数のライブラリーをHTSにかける傾向にある。

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