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「何を創る」から「どのように造る」へ – 開発候補化合物探索の実際2

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物理化学的性質を最適化して「より安定した」化合物へ

化合物の結晶性と結晶形、安定性、吸湿性、溶解度等、保存条件や薬物動態に影響を及ぼす物理化学的性質の最適化が検討される。特に、結晶形は結晶を析出させる条件によって変わることがときどきみられる(これを結晶多形とよぶ)ので、将来の大量合成に備えて結晶化の条件を確立しておく必要がある。結晶多形は、消化管吸収性に影響し、ひいては薬理作用に影響を及ぼすので早い段階で解決すべき問題である。
 

モデル細胞等を用いて薬物動態の初期評価をしておく

小腸の吸収モデルであるCaco – 2細胞を用いて経口吸収性を予測したり、代謝の受けやすさ(あまり代謝されないほうがよい)、代表的な代謝酵素に対する阻害や誘導の有無等が検討される。酵素阻害や酵素誘導は薬物相互作用を起こすので、そのような性質を有する化合物は除去される。
 

動物実験等で毒性の初期評価を進める

スクリーニング毒性試験としてラットで短期間の投与を行ったり、in vitroでの染色体への影響の有無(= Amesテスト)等を検討することによって、安全性に問題のある化合物は除かれる。
 

「プロセス化学研究」で開発候補化合物を大量合成

開発候補化合物が決定すると、非臨床試験あるいは臨床試験用の化合物を安全にかつ高品質で大量に合成するための検討に入る。創薬研究段階ではせいぜい数十gの合成スケールであったものが、非臨床・臨床試験に使うため、数百g~数百kgにスケールアップする必要がある。このような効率的な製造法を作り上げる研究をプロセス化学研究という。
 

「何を創る」から「どのように造る」へ

創薬研究ではSARの観点から、薬理活性の最適化のためにできるだけ多種多様な化合物を合成することに主眼が置かれるが、プロセス化学研究では絞られた1つの開発候補化合物をいかに効率良く合成するかに化学合成技術が集約される。具体的には、優れた合成ルートの構築、反応処方の最適化、各工程での化合物の分離精製、微量不純物の生成コントロールなどを行う。また、化学工学的評価や反応機構解析の技術を駆使して、スケールアップ時の安全性や合成に伴う環境負荷のリスク軽減を考慮した製造法を組み立てる必要がある。

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