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処方チェックへの期待 – 医薬分業の誤解1

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現在の日本では、医薬分業の際に病院や医院の前に薬局ができていて、そこで薬を受け取っている人が多いと思います。ある調査では、約90%の患者さんが病院や医院の近隣にあるいわゆる門前薬局で薬を受け取っているという報告があります。

しかしながら、ドイツやイギリスの街を歩くと病院の前に薬局が立ち並ぶという光景はありません。処方をチェックするという考え方に立てば、門前の病院や医院の処方を100%近く応需していれば企業でいえば下請けの関係になってしまいます。元々第二薬局が禁止された理由もこうした関係になれば処方監視ができなくなるからです。

現在でもこうした形の門前薬局を「第二薬局まがい」と批判したり、「門前薬局」とやや揶揄をこめた言い方で表現することがあります。
 

 
 

処方チェックへの期待

ヨーロッパ
建築の耐震構造の偽装事件でも、構造計算の下請けをしていた建築士が発注元のプレッシャーに負けてコストを優先させたことが原因でした。こうした関係になってしまえば処方のチェックということには大きな期待ができません。

また、そもそも一つの医療機関の処方箋だけを受け付けていたのでは、患者さんが他の医療機関にかかっている場合に、そちらの薬と合わせた相互作用や重複のチェックが十分にできません。

ヨーロッパの国々に在住された方の中には、日本の門前にある薬局には処方監査機能が期待できないので行きたくないと言われる方もあるくらいです。

事実、疑義照会率も全国平均では2.5%ほどですが、特に多くの医療機関の処方箋を応需するいわゆる面分業の薬局では、5%以上にのぼるケースも多く、中には10%を超えている薬局もあります。

面分業の薬局のほうが門前薬局より圧倒的に疑義照会率が高くなっている例が多いのです。
 
 

門前の薬局に集中

薬局
また現在の門前薬局の形態では、集客を門前の医療機関に依存しているため、なかなか薬局間の競争も起きずサービス向上を目指すことも難しくなっています。その一つのいい例が、街を歩くと病院や診療所の宣伝の看板を多く見かけますが、これに比し調剤薬局の看板は圧倒的に少ないことがあります。

つまり宣伝をしてもしなくても集客にはほとんど影響しないという現実があるのです。サービスにしても同様のことが言えます。サービスが少々よくても悪くても門前の病院・医院へ行った患者さんはやって来るのです。

現在の日本の医薬分業の最大の問題点は、院外処方の病院、医院の患者さんが門前の薬局に集中してしまっていることです。

これは利潤重視の特定の門前薬局の責任というより、日本全体が制度として目先の利便性を重視して医薬分業本来の処方のチェックという観点を抜きに発展してしまった結果といえます。

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