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化合物の活性構造の予測~定量的構造活性相関のパラメーターと、薬理活性に及ぼす効果3

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医薬分子構造設計(SBDD:Structure-Based Drug Design)

創薬研究のツールとして最近のメディシナル・ケミスト達が注目している方法に医薬分子構造設計(SBDD:Structure-Based Drug Design)がある。
SBDDとは薬理活性化合物や生体高分子の構造情報に基づき、薬理作用の発現機構を分子レベルで明らかにして新しいリード化合物を見出す方法である。

最近のバイオテクノロジーの進歩により、たくさんのタンパク質のアミノ酸配列が解明され、X線結晶解析やコンピュータ技術の進展もあり、多くの生体高分子の立体構造が明らかになった。
これらの情報に立脚してリガンドとレセプターとの複合体の立体構造も解析されるにつれ、生体高分子の立体構造をもとにしたSBDDと呼ばれる新しい創薬の方法が確立されてきた。
これはポール・エーリック(Ehrich)が今世紀初めに提唱した「鍵(薬物)と鍵穴(受容体)」の理論から生まれた技術である。

タンパク質の構造情報をもとにしたSBDD技術を採用すると、効率的にリード化合物が得られることがある。
SBDDの手法が注目されているのは、ランダムスクリーニングにおける開発効率は0.01%のヒット率といわれているのに比べ、約10%という高いヒット効率にある。

SBDDの技術の応用は定量的構造活性相関の場合と同じく、合成する化合物数を減少させることによる開発期間・費用の短縮化につながる。
その意味で探索研究(基礎研究)段階でSBDDの技術の導入する意義はきわめて大きい。
以下に最近注目されているSBDDについてもう少し詳しく見てみる。

化合物の活性構造の予測ができるか

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既知のリガンド(受容体と結合する化合物)構造から新しいリガンド構造をデザインするアプローチは最も一般的なものである。
そのためには実際にリガンドがタンパク質と複合体を形成した時の構造(活性構造)を知る必要がある。

構造的に自由度の高い分子は、溶液中では一定の構造を取りにくく、その分子の結晶構造は一般的に活性構造とは異なる。
よくあげられる例として、環状ペプチドである免疫抑制剤シクロスポリンAの溶液中での構造と、その標的タンパク質であるシクロフィリンAに結合した構造がNMR解析によって得られ、2つの立体構造の間には大きな構造の相違があり、またシクロスポリンAの結晶構造とも異なっている、というケースがある。

これではどの構造をよりどころにしてデザインを考えればよいのかわからない。
実際にリガンドの活性構造を溶液中、またはリガンド単独の結晶構造から予測することは困難である。
そこで構造に及ぼしている相互作用の解析による活性構造の推測技術の開発が今後の課題となる。

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