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SBDDの長所と短所~受容体構造の変化と情報伝達との関係

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タンパク質機能の制御

最近の例では成長ホルモン(GH)や腫瘍壊死因子(TNF)、そしてインターロイキン-1b(IL-1b)の受容体との複合体構造が報告され、詳細な構造情報だけでなく受容体・リガンド複合体形成による細胞外情報の細胞内への伝達メカニズムについても関係が明らかになってきた。

そこにはGHとGH受容体(GHR)との複合体形成によって、GHRの二量体が形成され、その結果細胞内でのドメインが二量体化して酵素機能が活性化されることが示されている。

このようなホモまたはヘテロ二量体によるタンパク質機能の制御は、ペプチド性およびタンパク質性リガンドの受容体に一般的であり、またDNA結合性タンパク質においても共通して見られる。
T細胞のシグナル伝達も同様に、受容体(TCR)の二量体化によって生じる。

一般的にはレセプターは情報伝達のための構造(活性化体構造)と、不活性化された平衡関係にあるといわれる。
アゴニストは活性化された構造に結合する。
受容体構造はアゴニストの結合によって構造変化を生じることが分かっている。

SBDDの長所と短所

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新しい技術の開発は科学の進歩前進には欠かせない。
創薬研究は、臨床試験の最終段階である第3相治験をクリアし、規制当局より製造販売承認を得、発売に至るまで、15年から20年の歳月を要する。
またその開発には、想像を絶する巨額の費用を必要とする。

その気の遠くなるような医薬品の開発に少しでも利する方法の開発は大いなる期待を持って迎えられ、SBDDの技術が医薬品の開発効率を高めることができるのではないかと熱い期待を集めているのも事実である。実際に成果があらわれつつあるのは心強い。

一方、あえてこの新技術にも弱点があることを指摘するのは、今後の研究の推進に大切である。
SBDDの研究に第一に必要なのは、ターゲットタンパク質の三次元情報である。

すでにターゲットタンパク質が判明し、三次元情報も分かっている場合の研究効率はきわめて良好である。
しかし同時に、それはきわめて競争が激しい研究領域であることを意味する。

また三次元情報が未知の場合、競争はそれほどでもないが、まず誰かがターゲットタンパク質を結晶化しなければならない。
タンパク質の結晶化は、非常に幸運な場合、数ヶ月か1年以内に決定する場合もあるが、数年過ぎても結晶が得られないこともある(その場合はまさにSBDD以前の問題である)。

ターゲットタンパク質が判明した場合でも、純度のタンパク質を大量に得るためには遺伝子操作、抽出、精製と時間のかかる作業が待っている。
とはいえ、これらの課題が克服されたなら、大きな創薬研究のツールになることは間違いない。

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