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試験の計画立案において注意すべき事項

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臨床試験の計画立案において注意すべき事項

抗がん薬の臨床試験においては、どのくらいの生命予後の延長が臨床的に意義があるのかということも議論の対象となる。

近年では有効性を示すために10,000例以上の被験者を組み入れる臨床試験が行われる場合がある。しかし、組み入れ症例数が多いことは単純にすばらしい試験である、というのは誤った考えである。
もちろん症例数が多いことによりさまざまな情報がもたらされることは事実である。しかし、組み入れ症例数は、あくまでも臨床試験の計画立案において統計学的な手法に基づいて計算されるのである。つまり、対照群と比較し実薬投与群の優越性や非劣性の証明をするのに必要不可欠な組み入れ症例数が試験に入ることとなる。

一方、症例数の少ない試験の場合は、対照群と比較し、実薬群での有効性が非常に高く期待されていることとなる。したがって、必要以上の症例数を試験に組み入れることは、被験者に無用にリスクを負わせることとなり、倫理的観点(ベルモント三原則の「善行」に該当)からも認められていない
例えば糖尿病性腎症に対するアンジオテンシン?受容体拮抗薬(ARB)の有効性を検討するための試験では、透析の導入などが評価項目となっている(RENNAL study)。
また糖尿病の長期予後をみる試験では心血管イベントを評価対象としており、心房細動に対する抗凝固療法では、脳梗塞の発生頻度と出血のイベントを評価対象としている。

このような臨床上まれなイベントの発現をendpointとする場合、十分な検出力を持たせるために10,000例というような多くの症例数を組み入れることとなるが、そのような場合以外はやみくもに被験者を増やすべきではなく、脱落症例数を10〜20%と見込んで統計学的な検出に必要な症例数に10〜20%上乗せして症例数が決定されることが多い。

臨床試験の安全性

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次に安全性についてであるが、一般に第?相試験のなかですべての安全性情報を収集することは不可能である

しかし一方で、臨床試験中に発生する有害事象についてはその薬効に起因した特殊な有害事象が存在することが少なくない。
例えば血管内皮増殖因子(VFGF)阻害薬については近年多くの薬剤が開発されているが、出血リスクの存在が多く報告されている。
また生物学的製剤については手足皮膚反応アナフィラキシーなどの重篤な有害事象の報告も少なくなく、臨床試験に携わる医師や医療スタッフはこの点を十分に理解して対応をする必要がある。

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