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抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験

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抗がん薬の臨床試験

抗がん薬の臨床試験では、初めて人に対して物質を投与(ファースト・イン・ヒューマン)するのは健康成人ではなく患者である。これはその抗がん薬という物質の性質上、一般的に健康成人に投与することができないからである。

一方、抗がん薬の開発では最大投与量の決定などを患者で行うことに由来する難しさや、治験に組み入れることの倫理的配慮も必要である

試験を行うにあたって、用法・用量は最低の用量からスタートし、数例の安全性を確認した上で次の用量に移っていく方法をとる場合が多い。このとき、安全性において懸念がある場合はさらに追加の症例を組み入れた上で次の用量へ移行されることとなる。

つまり、試験において用量制限毒性(DLT:Dose Limiting Toxicity)の発現の有無をみることになるのだが、例えば3例中1例DLTが発現した場合は3例を追加し、その結果DLTが出なければ増量が可能となり、出た場合は最大耐量(MTD)を上回ったと判断される。

抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験

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次の段階として、第Ⅱ相試験では、がんの縮小効果を評価項目として試験が実施される。RECIST基準は非常に広く使用されている基準であるが、ここでは完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、進行(PD)の4つに分類される
しかし、これらの評価が必ずしも生命予後の延長に相関しないため、最終的には全生存期間(OS:overall survival)を主要評価項目とした第Ⅲ相試験、すなわち検証試験が必要となる。

わが国で実施される抗がん薬の臨床試験の多くは、海外ですでに行われた試験をもとに第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験が構成されているため、かなりの情報を試験開始前から得ることが可能である。
しかし近年の臨床試験は国際共同試験として実施されることが増えたため、情報の乏しい試験が時として実施され、予期せぬ有害事象に見舞われることもある。

さらに、未知の重篤な有害事象のために試験自体が中止されることもある。このため、抗がん薬の第Ⅱ・Ⅲ相試験を行う場合は、被験者の安全性を確保するための細心の注意が必要である。

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