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刺激応答性放出製剤〜放出制御型製剤(徐放性製剤を含む)の利点4

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合理的な薬物治療

ハイドロゲル栓の水和・膨潤により、一定時間後にカプセルのキャップがはずれ、中の薬物が溶出される製剤や、大腸の腸内細菌によって分解し、活性な親化合物が放出されるアゾ結合されたプロドラッグを用いて、大腸で薬物が放出できる時限放出型製剤が開発された。
現在、大腸標的化製剤として潰瘍性大腸炎の治療薬として使用されている。

この薬物が放出されるまでの時間をラグタイムと呼び、大腸への送達にはその消化管内移動時間である約5時間のラグタイムが設定されている。
さらにわれわれの体には、種々のサーカジアンリズム(概日リズム)があり、これに基づき疾患が発症しやすい時間がある。
そこで、このラグタイムを利用して、疾患の発症に同期させて薬物を放出することにより治療効果を確実にする時間治療が実用化されている。
これにより、不要な時間の薬物濃度を低下させて副作用を軽減させることができた。

例えば喘息は深夜から早朝にその発作が最も生じやすい。その原因として、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターの濃度がこの時間に上昇し、呼吸機能が最も低下し、気管支狭窄がピークとなることによって生じる。

がんの場合、多くのがん細胞は夜にその活動が活発になり増殖が進行するが、逆に骨髄は昼間に増殖が盛んになり夜はその活動が低下する。
従って、夜に薬物を投与すれば、骨髄毒性が低くなり、より高濃度の抗がん剤でがん細胞を抑制することが可能になる。
この差を利用して夜間に制がん剤を投与することによって副作用の発現が50%以上抑制できた。

このように発作の起こりやすいとき、強い効果が得られるときに集中して薬物濃度を高めることによって合理的な薬物治療が可能になる

刺激応答性放出製剤

 さらに進化した放出制御型製剤として、レーザー光、超音波、時期、pH、温度などの外部刺激によって薬物が放出される製剤型、あるいは継続的にグルコース値の測定を可能にするバイオセンサーを付帯し、その情報によってコンピュータ駆動の薬物放出ポンプを制御する刺激応答性製剤が長年、研究されてきた。

後者の製剤のプロトタイプとして、使い捨てのバイオセンサーにより血糖値をモニタリングしながら、血糖値が事前に設定した値を下回ったとき、自動的にインスリン注入を一時中断し、過剰なインスリンの注入を避けることのできる機器が発売されている。

また最近、骨髄や脂肪組織の間葉系幹細胞や胚性幹細胞による再生医療や細胞治療の臨床試験が盛んに実施されている。
細胞でそれらが必要なときをいろいろな刺激で察知したり、患者の恒常的な修復が行われている。

膵臓のβ細胞に代表されるようにインスリンの放出制御などはその典型例で、最も合理的な刺激応答性の薬物放出システムである。

今後は、これらの細胞そのものを利用したり、細胞の機能を人工的に遺伝子で補強したシステムとしたりして、必要なときにのみ、必要な量の薬物を投与できる第2世代、第3世代の刺激応答性放出制御システムの開発が期待される

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