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市販直後調査~個々の医薬品についての具体的な安全対策

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市販直後調査が導入されるに至った薬害問題

1993年に世界に先駆けてわが国で承認された抗ウイルス薬ソリブジンでは、承認され販売された直後から重篤な血液障害発現例が複数報告され深刻な薬害問題となった。

これはフルオロウラシル系抗がん薬が投与されていた患者で、併用されたソリブジンによるフルオロウラシル系抗がん薬の代謝が阻害され、血中濃度が上昇したことによるものである。
ソリブジンの治験の際の問題点(がん患者は治験対象から除外されていたなど)とともに、新薬が医療現場で初めて使用される市販開始直後は、多様性に富む実施医療との初めての接点となるため、特に慎重な観察や注意喚起が必要であることが改めて認識された。
ことにソリブジンでは、添付文書中に併用について注意記載がなされていたにもかかわらず薬害が起こってしまったことは深刻な問題であり、この事件などを契機に、2001年より市販直後調査が導入され実施された。

現在では、製薬企業に対し新薬販売6ヶ月間を対象に、医療関係者に対する適正使用情報の提供と医療現場で発生した副作用情報の迅速な収集を強く求めている。

個々の医薬品についての具体的な安全対策

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ここまでに説明された仕組みや制度に従い、個々の医薬品について発現し報告された副作用が症例報告などの形で製薬企業安全対策部門に集積される。
それらの情報は因果関係の濃淡や発現した副作用の重さ、生命へのリスクの程度、発現頻度の変化や特定の併用薬や患者疾患などの面から直ちに評価されて、未知または死亡を含む重篤な副作用症例が厚生労働大臣(実際の報告先はPMDA)に報告される。PMDAでは、各社から報告される副作用症例が集積され、製薬企業における評価と同様な視点から分析が行われる。
その結果、いまだ医療従事者に知られていない副作用などについては、厚生労働省の指示により新たに添付文書の重篤な副作用欄などに追加記載され、使用者の注意が促されることになる。

また、使用者に対する注意喚起だけではリスクを回避できないと評価される場合には、厚生労働省による適用の削除、用法・用量の変更、禁忌対象の変更などリスクの内容に応じた対策が行われる。
さらに深刻かつ緊急に安全対策を行う必要がある副作用が明らかにされた場合などは、当該製薬企業に薬事法に基づく製造販売の中止を求めたり、薬事法に基づく回収命令が発出されることになる。
また、医療現場に急ぎ伝達し注意喚起する手段として、使用上の注意等の改訂に加えて緊急安全性情報や医薬品安全性情報が作成され、報道やPMDA、厚生労働省のホームページなどを通じて公開されるしくみが設けられている。

なお、2013年11月に薬事法が改正され「医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」として公布された。
安全対策面では添付文書の改訂が企業の自主性に任されていたものを届け出制とするなど、安全対策の強化が進められている。

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