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細胞懸濁液移植による再生医療~再生医療の原理、方法と手順、現状、および倫理的問題点1

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再生医療

再生医療は、対症療法中心の薬物療法や切除中心の外科的治療の限界を超える、細胞を用いて根治治療を目指す新規治療であり、昨今大きな注目を集めている。

細胞懸濁液移植による再生医療

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造血幹細胞移植(骨髄移植)は、現在までにほぼ確立した治療技術となっている。
しかし造血系以外では、幹細胞を含むと考えられる細胞懸濁液の移植で有効性を示す臨床報告は、遺伝子疾患に起因する肝不全患者への経門脈的あるいは脾臓への他家健常肝実質細胞移植や、パーキンソン病患者への中絶胎児由来他神経細胞移植など、きわめて限られている。
この他、下肢血行障害や虚血性心疾患の治療として障害部位への事故骨髄細胞移植が有効であるとの報告が注目を集めている。

しかし、筋組織への細胞懸濁液の移植は、数十カ所から百カ所程度の注射により達成され、その際に注射針が不可避的に組織を傷つける他、移植された細胞の生着率が10%以下ときわめて低いこと、また島状の組織のみが再生し、大きな組織とならないなどの問題点も指摘されている。
さらに心筋への移植では不整脈による死亡が報告されている。

上記の細胞懸濁液移植は、すべて培養することなく採取した細胞を直接移植に供しているが、培養系で増殖させた細胞を移植に供する系としては、膝関節軟骨の傷害に対する培養自己軟骨細胞懸濁液移植が知られている。
1994年にブリットバーグらに報告され、1995年より米国ジェンザイム社より患者軟骨細胞の培養代行サービス(1件約200万円)がカーティセル(Carticel)として商品化されており、一万件以上の症例がある。

フランスのフィリッペ・メナシュが率いた虚血性心筋症に対する培養自己骨格筋筋芽細胞移植の第Ⅱ相試験であるMGICスタディは、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、英国での多施設ランダマイズド試験であり、97名の患者が参加した。

冠動脈バイパス手術時に梗塞部位およびその周囲に計30箇所の注射による細胞懸濁液の移植をおこなった。
第Ⅰ相試験で頻発した不整脈を防ぐため全例に除細動器を装着している。

試験の結果、プライマリーエンドポイントである心機能の改善を得ることができず、やはりヒトを含む大型動物の組織再生には細胞懸濁駅の注射だけでは不十分であり、何らかの形で組織を再構築する技術すなわち組織工学の探究が必須であると考えられる。

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