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QOLとQALYとCUA~QALYを用いた費用効用分析3

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QALYを使った費用効用分析

QOLを薬剤経済分析に用いるためには、QOLが効用値として表される必要があります。
効用とはもともと、ミクロ経済学で消費者の行動を説明するために用いられた概念です。

この効用値としてのQOLで生存年を補正した質調整生存年(QALY)を用いて薬剤経済分析を行うのが費用効果分析(CUA)です。
米国の専門家によるパネルでも、QALYを使った費用効用分析を標準的な方法として勧めています。

QALYとは、同じ一年生きるにしても、健康に生きるのと寝たきりで過ごすのを同じに扱うべきではないとの考えを反映させたもので、たとえば完全な健康状態の効用値を1.0、死亡状態の効用値を0.0と表したとき、現在の健康状態の効用値が0.6と表せるとします。

この健康状態で5年生存したとすれば効用値は0.6×5=3.0となって、完全な健康状態で3年生存したのと同じ価値があるとするものです。

CUAとCEA

費用効用分析(CUA)では比較する治療法の間でのQALYの差を求めて、その差でその結果をもたらすのに要した費用の差を割ることによって、1QALY当たりの増分費用を求めることが行われます。

薬剤経済分析の別の手法に費用効果分析(CEA)がありました。CEAでは、治療の結果を延命効果や降圧効果で測定し、これを年数や血圧といった数値により表現します。
そしてこの数値で表された単位効果あたりに要する費用を比較することで、複数の治療法の間での費用対効果を比較します。

非常にわかりやすく、したがって納得の得やすい方法ではあるのですが、この手法を使うためには比較する治療法の間で、治療の結果が同じ指標で表されていることが必要です。

どのような治療も、患者の健康の改善を目指しています。
そこで治療の結果を患者個人の健康度の改善というようなもので捉えることができれば、理論的にはどのような治療法の間でも比較が可能となります。

この健康度を表すものがQOLであり、QOLを用いたのが費用効用分析(CUA)でした。

CEAかCUAかは臨床評価の方法に影響される

QALYの考え方は、費用効果分析(CEA)を用いることができる場合であってももちろん適用できます。
同じ血圧の低下の度合いを示しても、患者の健康度という観点から言えば違いがあるかもしれないからです。

もし違いがあるとすれば、費用効果分析(CEA)と費用効用分析(CUA)のどちらを用いるべきかということですが、結局これは臨床評価の方法に影響されることになります。

ひとつの測定値で云々するよりは患者全体を捉えて評価する方がよいに決まっているのですが、その測定の信頼性にまだ議論の余地があるとすると、数値で表された効果を用いて評価した方がまだましということになります。

「意思決定者に判断材料を提供するための薬剤経済分析」からいえば、意思決定者に理解が得られていない段階でQOLによる費用対効果の測定を行っても、分析結果を受け入れてもらえないかもしれないということに留意すべきでしょう。

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