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治験薬の作用を正確に評価。併用禁忌の薬剤(薬物代謝酵素とトランスポーター)1

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併用禁忌薬

一般的に併用禁忌薬といえば飲み合わせの悪い薬をいい、併用した場合に薬の効果が弱くなったり、副作用の発現頻度を上げたりする悪いイメージですが、治験ではそのような負のイメージだけではなく、治験薬の作用を正確に評価するためにも設けられます。

薬は吸収・分布・代謝・排泄といった過程で体内に入って出て行きますが、この過程において薬物代謝酵素(主にCytochrome P-450、CYP;シップと呼ばれます)やトランスポーターの役割が重要となってきます。

CYPは薬の代謝に関係する酵素で、薬を体外に排泄しやすい構造に変化させます。
また、トランスポーターは吸収過程、組織への分布および組織からの排泄過程に寄与しており、薬が体内を移動する際の入口・出口に相当します。
CYPもトランスポーターもタンパクであるため、塩基配列の違いによる多くの分子種が存在します。

非臨床試験によって治験薬に関与するCYPやトランスポーターの分子種が明らかにされ、この結果を踏まえて、臨床試験における併用薬の可否や相互作用試験などがデザインされます。

喫煙者への治験は望ましくない

CYPやトランスポーターは薬や食品などで発現が誘導されたり、阻害されたりすることがあるので相互作用の原因となることが多々あります。
例えば、喫煙をするとCYP1A2が誘導されることが知られていますが、喫煙患者にCYP1A2で主に代謝される薬を服用してもらうと「代謝酵素が誘導される→薬が早く代謝される→効果が弱い」となります。

このようなCYP1A2で主に代謝される薬の治験では、薬が本来持つ効果を正しく評価できないため、喫煙者の治験への参加は望ましくないでしょう。

薬とグレープフルーツジュースの併用は危険

例えばグレープフルーツジュースは、これまで消化管のCYP3A4による薬の代謝を阻害し(消化管の代謝酵素が阻害される。薬の循環血中への吸収が上昇する→血中濃度が高くなる)、消化管のトランスポーター(p-糖タンパク質、P-gp)の働きも阻害する(消化管の汲み出しトランスポーターを阻害=消化管上皮細胞から消化管腔への排出を塞ぐ→薬の循環血中への吸収が上昇する→血中濃度が高くなる)ことで経口投与後の薬の持つ効果が増強されるとの報告があり、薬とグレープフルーツジュースの併用は危険視されています。

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