HOME > すべての記事 > 品質と規格 > 容器・包装の安全性 と微生物学的特性 – 品質と規格(品質評価・規格設定の必要性)6

容器・包装の安全性 と微生物学的特性 – 品質と規格(品質評価・規格設定の必要性)6

920view

 

医薬品の安定性を保証するための特性

1つ目の医薬品の安定性を保証するための特性に関して、日本薬局方(以下、局方)では密閉容器、気密容器、密封容器および遮光容器に区分して、求められる品質を設定している。錠剤の包装容器として汎用されるPTP包装(表面がポリ塩化ビニル、裏面がアルミ箔で形成されており、表面を押すことにより容易に錠剤を裏面から押し出すことができる容器)は気密包装容器である。一方、ガラスバイアルなどの密封容器は、気体が侵入しない容器であり、無菌性が要求される医薬品に使用される。
 

容器・包装自身の安全性

2つ目の容器・包装自身の安全性は、注射剤に用いられる容器では特に重要な項目であり、構成する材料と投与剤形との適合性(容器への吸着や容器からの溶出を含む)、構成する材料の安全性などが評価される。局方では容器・包装試験材料として、注射剤用ガラス容器試験法、プラスチック製医薬品容器試験法および輸液用ゴム栓試験法が設定されている。
なお、容器・包装は医薬品が直接接する1次包装と直接接しない2次包装に区別される。例えば、錠剤のPTP包装は1次包装であり、アルミピロー包装は2次包装に相当する。2次包装でもアルミピロー方法のように遮光機能や防湿機能が求められている場合には、評価が必要である。
 

容器・包装の不完全性がもたらした副作用事例

容器・包装の不完全性がもたらした副作用事例としてはエポエチンのケースが知られている。1998年以降、ヨーロッパでエリスロポエチン製剤を使用した患者に、赤芽球癆という一種の再生不良性貧血を発症する人が目立つようになった。狂牛病(BSE)による感染を避けるために、添加剤として含まれていたヒト血清成分をポリソルベート80に変更し、さらに容器も変えた直後のことであった。その原因は、ポリソルベート80により溶出したプラスチックの栓由来の物質がアジュバンドとして作用し、免疫系を活性化してエリスロポエチンに対する抗体を作らせ、患者が本来もっていた造血ホルモンであるエリスロポエチンまで不活性化し、赤血球産生が抑制されたためであったことがその後の調査により明らかになった。容器・包装の評価が結果として不十分であったことが招いた事故である。

 

微生物学的特性

製剤の微生物学的観点から見た品質特性には、下記3つの要素が含まれる。
・非無菌製剤については微生物学的特性を評価する。非無菌性医薬品であっても、医薬品の微生物学的な汚染の程度を評価する必要がある。生菌数と特定微生物(黄色ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ金、緑膿菌ななど)が評価の対象となる。原薬あるいは保存剤が抗菌性か否か、乾燥製剤か否か、微生物の繁殖を抑える作用があるか否かなども考慮に加える必要がある。その評価次第で、微生物限度試験が設定される。

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「品質と規格」カテゴリの関連記事