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ワクチンのベネフィット・リスクバランスの特殊性 – 品質と規格(品質評価・規格設定の必要性)15

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ワクチンのベネフィット・リスクバランスの特殊性

ワクチンには主として健康人(多くの場合は健康な小児)に使用するので、病気の治療のため使用する他の医薬品に比べて、接種された本人のメリットが見えにくいという特徴があります。このため、ベネフィット・リスクバランスを考えた場合、ベネフィットは見かけ上小さくなるので、リスクを他の医薬より小さくする必要があり、安全性確保が非常に重要になる。

 

ワクチンとの併用で、因果関係が否定できない死亡例

例えば、2011年3月に不活化ワクチンである小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの同時接種、さらに他のワクチンとの併用で、因果関係が否定できない死亡例が4例報告されたことから、肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの接種が一時中止され、安全性の検討が行われた。最終的に、安全性に大きな問題なしとして接種は再開されたが、その際、今後も因果関係は否定できない死亡症例が問題となる率(10万人に接種して、死亡例0.5人のレベル)を超えていないことをチェックすることが求められている。
安全性の基礎となる品質確保のため、ワクチンについえは生物学的製剤基準(告示)が定められており、これは化学物質製剤や生物学的製剤以外のバイオテクノロジー応用医薬品にはない規制である。薬事法に基づく基準で、基準はずれの製品の流通が禁止されるなど、生物学的製剤以外の製品より厳しい規制がかけられている。品質確保の一環として、国が品質および安全性を保証するため、製造業者の出荷適否試験結果のみならず、検定機関(日本では国立感染症研究所)での試験を受けて合格したのち、出荷を認める制度(国家検定制度)が設けられている。

 

血液製剤の場合

血液製剤は治療効果がみえやすい製剤であるが、ヒト由来製品であることから感染症伝播の危険性があり、この面での安全性を重視する必要がある。そのため、ワクチン同様に生物学的製剤基準が定められ、ドナースクリーニングの方法、出荷時試験などが規定されている。
さらに、血漿分画製剤(ヒト免疫グロブリン製剤、乾燥ヒトフィブリノゲン製剤、乾燥濃縮ヒト血液凝固第?因子製剤)は濃縮度が高く、患者1人に投与される製剤の製造に要するドナー数が非常に多いこと、過去にHIV感染症、HCV感染症などの重大な感染を引き起こしたものであることから、国家検定制度の対象とされている。
一方、血液成分製剤(ヒト赤血球濃厚液、ヒト血小板濃厚液など)は同様にドナースクリーニングの方法、出荷時試験などが生物学的製剤基準に定められているが、国家検定の対象とするには有効期間が短い(ヒト赤血球濃厚液では24時間以内)ためと、患者1人あたりの投与される成分のドナー数が少ないこともあり、ベネフィット・リスク、ベネフィット・コストの観点から国家検定制度の対象にはなっていない。
最近、血液凝固因子製剤では遺伝子組み換え製品(汚染のコントロールが容易ではなるが高価)が増えつつあり、これらは生物学的製剤基準も適用されず、国家検定の対象にもなっていない。

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