HOME > すべての記事 > 代表的な疾患(がん、糖尿病など)関連遺伝子 > Ras・bcr-abl・がん抑制遺伝子・p53・APC~代表的な疾患(がん、糖尿病など)関連遺伝子

Ras・bcr-abl・がん抑制遺伝子・p53・APC~代表的な疾患(がん、糖尿病など)関連遺伝子

1610view

Ras

Rasは、低分子量Gタンパク質の一種であり、下流のRaf,MEK,ERK(MAPK)シグナル伝達経路を活性化することにより、細胞増殖を制御する。
そもそもRasという名前は、ラットに肉腫、すなわちsarcomaを起こさせる“ratsarcoma”から命名された。

Rasは、外界からの刺激に応じて、GTPに結合した活性化状態と、GDPに結合した不活性化状態が切り替わるスイッチ分子として細胞増殖シグナルを制御する
興味深いことに、大腸がんや膵臓がんを含む非常に多くのがんにおいて、Rasの突然変異が見出されている。

大腸がんでは半数以上、膵臓がんでは90%以上の人にras遺伝子の配列に変異が起こっている。
しかも、これらの突然変異の生じたRasは、GTPが分解できないために、常にGTPと結合した状態となり、細胞増殖シグナルが暴走した結果、細胞がん化の引き金を引くと考えられている。

bcr-abl

慢性骨髄性白血病(CML)においては、フィラデルフィア染色体と呼ばれる第9番染色体と第22番染色体の相互転座が90%の頻度で認められる。
この転座の結果、abl遺伝子とbcr遺伝子が融合したbcr-abl遺伝子が生成する。

bcr-abl遺伝子から作られるBcr-Ablタンパク質のチロシンキナーゼ活性は常にスイッチが入った状態であるため、細胞増殖のシグナル伝達が異常に活性化し、過剰な細胞増殖が引き起こされCML病態が形成される。

すなわち、bcr-ablは、CMLの原因遺伝子であり、イマチニブはBcr-Ablを標的とした初めての分子標的抗がん薬である

がん抑制遺伝子

ある遺伝子に変異や欠失が生じることで、その遺伝子の機能が失われると、高率に細胞のがん化が起こるような遺伝子は、その遺伝子の働きががん化を抑制するように機能していると考えられることから、「がん抑制遺伝子」と呼ばれる。

がん抑制遺伝子として、細胞芽細胞種の原因遺伝子であるRB(retinoblastoma)、大腸がんのがん抑制遺伝子であるp53、APCなどが知られている。

p53

最も有名ながん抑制遺伝子であるp53遺伝子は分子量53kDaのタンパク質をコードし、損傷を受けたDNAの修復に関わることから、ゲノムの守護神とも呼ばれている。

大腸がん、肺がん、食道がん、脳腫瘍など、ほとんどの腫瘍で高頻度にp53の変異や欠失が認められるが、中でも”Li-Fraumeni症候群”は、軟部組織肉腫、乳がん、白血病、骨肉腫、黒色腫、そして大腸、膵、副腎皮質、脳のがんを伴う「がん多発症候群」であり、p53遺伝子の変異が胚細胞のレベルで遺伝的に継承される。

p53遺伝子の変異が確認された肺がんや頭頚部がんに対して、p53の遺伝子治療を行うという試みが報告されている

APC

APC遺伝子は、家族性大腸腺腫症の原因遺伝子として同定された。

大腸がんの発がんメカニズムのひとつとして、良性のポリープである腺腫に、遺伝子のキズ(変異)がいくつも重なり大腸がんになるという「多段階発がんモデル」が知られている。

この一連の遺伝子の変異として、APC、K-ras、p53、TGF-βなどが知られており、APCの変異は、大腸がんへの最初のステップであり、引き続きrasに変異が入ることでアクセルが暴走してがん化する、という流れをたどるのである

>> 「現役薬剤師の転職体験談」に進む

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載中の案件一覧

「代表的な疾患(がん、糖尿病など)関連遺伝子」カテゴリの関連記事