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疾患関連遺伝子の薬物療法への応用例

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トラスツズマブ(ハーセプチン)

トラスツズマブはHER2を標的とする抗体医薬品であり、HER2は陽性乳がんの治療に用いられる。
HER2(HumanEpidermalGrowthReceptorType2)は、日本語ではヒト上皮増殖因子受容体のことであり、ヒトがん遺伝子の遺伝子産物として同定された増殖因子受容体である。

ハーセプチンは、細胞表面に存在するHER2受容体に特異的に結合する。
これにより、ナチュラルキラー細胞や単球が活性化され、抗腫瘍効果を発揮する。

これを、“抗体依存性細胞障害作用”(ADCC:antibody-dependentcellmediatedcystotoxicity)と呼ぶ。
もう1つの作用として、ハーセプチンが細胞表面のHER2受容体に結合することによってHER2受容体数を低下させ、その結果細胞増殖シグナルが低下するという直接的増殖抑制作用も考えられている

ベバシズマブ(アバスチン)

VEGFは大腸がんや乳がんなど、さまざまな固形がんで過剰発現が認められており、これらのがんの予後を規定する重要な因子である。
ベバシズマブはVEGFを標的とした世界で初めての血管新生阻害薬である。

ベバシズマブは、腫瘍から放出されるVEGF(vascularendothelialgrowthfactor)という強力な血管新生促進因子に対するヒト型モノクローナル抗体であり、VEGFがVEGF受容体に結合するのを阻害することにより、VEGF受容体を介する血管新生の指令をブロックする。
その結果、腫瘍の血管新生、さらに腫瘍の増殖や転移も抑制されると考えられている

ベバシズマブは2004年に世界初の血管新生阻害薬として米国で認可され、日本でも2007年に治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに対して化学療法との併用が認められた。

ファルネルトランスフェラーゼ阻害薬

Rasはがん化に関わる細胞内シグナル伝達経路においてきわめて重要な分子である
最近、Rasの活性化機構に着目した新しいRas阻害剤が開発されている。

Rasファミリー蛋白質は、C末端にCAAXモチーフというアミノ酸配列が共通して存在するが、この配列のなかのシステイン(C)がプレニル化(ファルネシル化およびゲラニルゲラニル化)という脂質修飾を受けることにより、Rasタンパク質は細胞膜やゴルジなどの膜に移行し、局在することができる。

イマチニブ(グリベック)Bcr-Abl

慢性骨髄性白血病(CML)の原因は、bcr-abl融合遺伝子から翻訳される異常なablチロシンキナーゼ活性を持つタンパク質である。
したがって、bcr-ablは、CMLにおいてのみ発現し、健常者にはけっして存在しない遺伝子であり、CMLのきわめてすぐれた分子標的といえる。

リン酸化酵素がその活性を発揮するためには、ATPと結合することが必要であるが、イマチニブはbcr-ablのATP結合部位にATPと競合的に結合することにより、bcr-ablの活性を阻害する。

イマチニブ治療によるCML患者の全生存率は90%近く、きわめて良好である

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